安倍首相が捏造データを示して“裁量労働制の方が短い”との答弁を行い、答弁撤回後も「厚労省から上がってくる答弁を紹介した」「すべて詳細を把握しているわけではない」と人ごとのような言い訳に終始していることほど人を馬鹿にした答弁はない。「内閣総理大臣というのは、役所から上がってきた答弁書を読むだけの存在ではない。自分の答弁として『捏造データ』を紹介しておきながら、『細かいところは知りません』『役所の紙を読んだだけです』では国会審議は成り立たない(共産党志位委員長)。
政府は「ごめん」で済まそうとしているようだ。官房長官は、『法案提出、成立の方針にまったく変わりはない』といつもの菅節である。しかし、政府・与党が主張してきた〝立法事実〟=長時間労働対策の一環=は全く存在しない虚偽だった。結局、今回改正の立法事実は〝残業代払わないで長時間労働を可能にする制度を作れ〟という財界のリクエストだった。
もっとも安倍首相の心のうちは、自分は「労働者の健康維持、福祉の向上のため」とは一言も言っていない。自分は一貫して「最大の成長戦略」だと言ってきたと思っているだろう。しかし、立法事実のなくなった改正案は直ちに撤回すべきだ。自分の答弁として『捏造データ』を紹介した責任をどうするつもりか。