プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

「政治とカネ」 福田首相の不明朗な会計処理 領収書を公開したがらないわけ

2007-09-29 19:13:47 | 政治経済
「政治とカネ」で国民の信頼を失った自民・公明の政治は、国民との間で「背水の陣」まで追いつめられはずではなかったのか。福田首相は参院選で民意が明確になった政治資金の公開で、領収書の一円からの添付について「収支の一切について完全に説明できる仕組みを提案した」と胸を張った。ところが、添付はしても領収書は非公開で、問題が指摘されたときには国会に新たに設ける第三者機関がチェックし、公開を考えるという。第三者機関をつくらなくても、日本の国会には「疑惑解明」の名を冠した機関がすでにある。衆参両院に設けられた政治倫理審査会である。しかし、その実態は、国会の追及を逃れ、密室での議員の勝手な弁明で、疑惑に幕を引く道具立て機関となっている。密室の新たな機関をつくるということは、はじめから政治資金を透明化する気などさらさら無いということを宣言しているようなものだ。必要なのは、「政治とカネ」の問題をすべて国民やマスメディアの前にガラス張りにし、国民がその実態を批判・監視できる仕組みをつくることだ(「しんぶん赤旗」9月27日)。

福田首相の政治資金・選挙費用の収支報告書に添付された領収書に、あて先の書き換えなど多数の変造が見つかった――。「赤旗」日曜版9月30日号のスクープ報道が反響を広げ、福田首相も28日、「最高責任者として汗顔の至りだ」と事実を認めた。首相は「事務的ミス」というが、そんな弁明ですむ問題でないことは明らかだ。変造された領収書は、福田氏が支部長の「自由民主党群馬県第四選挙区支部」の政治資金収支報告書(03年、04年、05年分)と、総選挙の選挙運動費用収支報告書(03年と05年)から発見された。領収書のあて先をわざわざ二重線で消し、「自由民主党群馬県第四選挙区支部」や「福田康夫選挙事務所」の判を押していた。また、「白紙」と見られる領収書に、あて先として同じ判を押したものも多数あった。ひどいのは、舛添政治経済研究所宛ATMからの振込み控えで、“チヨダケイザイケンキユシヨ”の印字をわざわざ二重線で消した上に「自由民主党群馬県第四選挙区支部」の印鑑を押して訂正しながら、電話番号はもとの東京のままという出鱈目ぶりである。領収書は、発行する側が相手先を記入してこそ真正なものと認定されるということは、経理マンの常識である。あて先を勝手に改竄したり、白紙にあて先を記入した領収書は、ヴァウチャー(証憑)として認められない。店側が記入したあて名を、了解や承諾なしに勝手に書き換えることは、文書変造罪にあたる。変造した領収書を政治資金や選挙運動費用の収支報告書に計上すれば虚偽記載であり、罰則の対象である。福田首相は「事務的によくなかったが、不正ではない」と釈明しているが、「事務的ミス、不正ではない」ですむ問題でない。また、福田首相には、政党支部と政治団体の事務所費についても、05年分が前年の約三倍に急増するという問題がある。これについても、福田事務所は、「(事務所費の内訳について)回答は控えさせていただきます」という態度。これでは、松岡元農水相と同じではないか!(「赤旗」日曜版9月30日号)

自民党政治家の政治資金報告書は、およそ経理報告の体を成していない。なぜ、違法・脱法行為に手を染める政治家があとをたたないのか。虚偽報告をした政治家に対しては、徹底した事実解明を要求し、厳しく責任を問わなければならい。疑惑を隠し、責任をあいまいにしても、「訂正」、「返金」で許されるから、虚偽報告が横行する。
そもそも「政治とカネ」への感覚をマヒさせる根源には、企業・団体献金、政党助成金がある。政党・政治家が、広く国民と結びつく努力もせずに、やすやすと巨額の資金を得る仕組みが、国民の常識から遊離し、堕落したカネの使い方となり、出鱈目な報告書となるのだ。政治を腐らせる“二つの麻薬”にメスを入れず、金権腐敗の一掃は不可能である。われわれは、いまこそこの問題にメスをいれなければならない(「しんぶん赤旗」9月22日)。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。