プロメテウスの政治経済コラム

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消費税増税の迷走  これ以上の引き延ばしを許さない財界と自民党との茶番劇

2009-01-24 21:00:17 | 政治経済

消費税増税は本来、小泉の次がやるべき財界から自民党に与えられた課題だった。ところが安倍は、「美しい国」にうつつを抜かしているうちに参院選で大敗してしまった。福田も民主との大連立に失敗し、社会保障の機能強化論を持ち出してなんとか消費税増税に道筋をつけようとしたが途中で挫折してしまった。財界の苛立ちは頂点に達した。そこで考えたのは、麻生を生贄に郵政議席のあるうちになんとしても消費税増税と法人税実効税率の引き下げのレールを引くことであった。財界が敷いた路線に乗る、自民党内の消費税増税論議の迷走は、たんなるお遊び、茶番劇にすぎない

麻生自公内閣は23日、消費税率引き上げを2011年度までに法制化することを盛り込んだ09年度税制「改正」法案を閣議決定した。09年度予算案とその関連法案は、郵政議席があるかぎり、なんとか成立に持ち込めるという読みであろう。選挙で負けることがほぼ確実な麻生にとって、いまやなんとしても政権にしがみつき、消費税増税に道筋をつけ、自衛隊の海外派兵の実績を残すことは、支配階級に対する最後のご奉公である。

麻生内閣が閣議決定した09年度税制「改正」法案は付則で、消費税増税を含む「税制抜本改革を行うため、11年度までに必要な法制上の措置を講ずる」と明記。実施時期は、景気回復過程の状況などをみて、法制上定めるとした。与謝野馨経済財政担当相は同日の記者会見で、「(消費税増税などの)税制抜本改革のスタート時期は11年度を含む」とした上で、「政府の立場として物事があいまいになったり、先送りされた印象はない」と述べた。選挙を気にする与党の増税時期明示慎重派議員も「平成23年度に増税する表記は撤回された」(中川氏)「懸念はかなり取り除けた」(塩崎元官房長官)と評価の声が相次いだ。小泉は「歳出をどんどん切り詰めていけば、やめてほしいという声が出てくる。増税をしてもいいから必要な施策をやってくれという状況になってくるまで、歳出を徹底的にカットしないといけない」と言っていたが、ヤラズブッタクリは、はじめから支配層の既定路線であった。

「付則」の「税制抜本改革」には消費税増税だけでなく、法人実効税率引き下げも盛り込んでいることは、この「付則」が一体誰のためのものであるかを端的に示す。財界は消費税を法人税の引き下げ、さらに、あわよくば法定福利費(社会保険料)の負担免除に使うことを狙っている。消費税は、それを顧客にすべて転嫁できる大企業にとっては一切の負担はない。それどころか、トヨタ、ソニー、キャノンなどの輸出企業は、「輸出戻し税制度」によって、年間3千億円、1千5百億円、990億円の還付金(2007年)を受け取っているのだ。おにぎりを食べたいと言って餓死した貧乏どん底の者も毎晩ホテルを飲み歩く者もおにぎりを食べたら同じ税金を負担する。これが公平だという人は、幸せな人だ。消費税は応能負担原則に違反する典型的な不公平税制である。

消費税の増税をしなければ財源が足りないのではないか、借金まみれの日本の財政は大丈夫か、まるで国家財政を自分のことのように心配する人がいるだがその心配はまったく必要ない不公平税制を是正し、税金の無駄遣いを正せば日本の経済力は、いくら社会保障を充実させても大丈夫である。不公平税制をただす会が毎年試算している増収試算(2008年分)によれば、国と地方あわせて合計19兆7000億円の税収が確保できるという。平成20年度(2008年度)の消費税収入見込み13兆3000億円よりはるかに多い。さらに不公平税制をただす会は税金の無駄遣いを正すことにより38兆円の財源が確保されるとしている(ちなみに軍事費の削減は1兆4441億円)。

消費税増税は、労働者階級をこき使っても、賃金以外の一切の負担はしない、法人税負担はトコトン引き下げるという財界の要求に沿うものであって、絶対に社会保障のためではない。消費税導入後、医療や年金がどうなったか。ひどくなっただけではないか。消費税増税を阻止すかどうかは支配階級と被支配階級の闘争の当面の最大の焦点なのだ。

 

 

 

 

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