プロメテウスの政治経済コラム

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共産党が大量解雇の中止・撤回を経団連に要求  片や国会は雇用法案を巡っての自公民の茶番

2008-12-19 18:55:22 | 政治経済
派遣・期間労働者の大量解雇がきわめて深刻な社会問題となるなか、日本共産党と日本経団連の初めての会談が18日、都内で行われ、志位委員長は「大量解雇を主導しているのは、日本経団連の中核を担う世界的大企業であり、その社会的責任はきわめて重大だ」と指摘。非正規労働者の大量解雇の中止・撤回を求める御手洗冨士夫会長あての要求書を手渡すとともに、財界の認識をただした。
片や、参院厚生労働委員会では18日、民主、社民、国民新の野党三党提出の雇用対策関連4法案の採決を岩本司委員長(民主党)が強行し、自民党と民主党の質疑では、「強行採決だ」「何を言っているんだ」などの怒号とヤジが繰り返され、互いに今必要な対策をまとめあげようとする姿勢がまったくみられなかった。平成20年度第2次補正予算案の提出を来年に先送りした麻生政権の不作為を際立たせ、雇用問題に熱心なところを見せようという見え透いた茶番劇であった。

共産党委員長と日本経団連幹部との初会談はYouTubeが冒頭部分と会談後の記者会見を動画配信している。志位さんは会談後、国会内で記者会見し「御手洗冨士夫会長とお会いし、突っ込んだ話がしたったが、どんなレベルでも経団連と日本共産党が公式に会談を持ったことは変わりがない」と、意義を語った(産經新聞12月18日18時39分配信)。雇用不安が拡大する中、経団連側も共産党の申し入れを断れなかったようだが、将来民主連合政府で共産党の代表が厚生労働大臣にでもなれば、こんな光景はしょっちゅう見られることだろう。当面の民主的改革は、大企業にその社会的存在にふさわしい役割を果たすよう求めることであって、敵対することではないからである

共産党の申し入れ書は、道理にかなったきわめてまともな要求である。
(1)非正規労働者を突然寒空のもとに放り出すことは人道にてらして許されないこと(2)契約の中途解除、「雇い止め」の濫用、一方的な内定取り消しは法令違反であること(3)大企業は「減益」といってもなお巨額の利益を上げ、配当を減らさず、巨額の内部留保ももっており、大量解雇を避けられないとする合理的理由はないこと(4)大企業が競い合って大量解雇をすすめたら、日本経済を雇用破壊と景気悪化の悪循環に突き落とすことになり、企業の存立・発展を展望しても自殺行為となること――を示し、日本経団連側の認識をただすとともに4項目の要求を行なった。4項目の要求は次のとおりである。
1、会員企業等にたいし、大量解雇計画の中止・撤回を働きかけられたい。
2、違法な解雇、解雇権の濫用をおこなわないよう労働法制の順守を求められたい。
3、不当な内定取り消しなど、社会的責任を放棄した行動をやめるよう働きかけられたい。
4、労働者が解雇によって住まいまで奪われ、路頭に迷うような事態を引き起こさせないために万全の対策を講じるよう働きかけられたい。

民主党の岩本・参院厚生労働委員会委員長が職権で雇用対策関連4法案の強行採決を決めたのは、同党の雇用問題への積極姿勢を世論にアピールするとともに、第二次補正予算をなかなか出さない麻生政権へのはらいせである趣旨説明、審議、採決を1日で行う異例のスピード採決ということは、自公の反発を見越した見え透いたスタンドプレーである。法案は19日の参院本会議で可決され、衆院に送付される。与党は衆院では時間切れによる廃案に追い込む構えだ。なんのことはない、自公民ともども、突然寒空のもとに放り出される被解雇者のために何らかの必要な対策をまとめあげるのではなく、政局の駆引きに現を抜かしているのだ。
共産党の小池晃議員が、採決に先立つ質問で、政府・与党に対し「野党の提案でも、いいところは取り入れ、より良いものにしていくべきだ」と求め、片や、深刻な雇用危機のもとで国民が期待しているのは、議論で終わらせるのではなく、政策を実現することなのに、その努力を尽くさないまま採決を強行しようとする民主党の姿勢を批判したのは、至極真っ当なことであった。
「岩手日報」18日社説は「与野党とも緊急雇用対策と口では言いながら、具体化が進まない。最大の責任は政府、与党にあるが、野党もその内実は総選挙で有利になるようにと駆け引き優先の姿勢ばかりが目に付く」「むしろ今は共産党が自民、民主両党に緊急雇用対策を年内にまとめるための与野党協議を提案したことの方が筋が通る」と事態の本質を喝破している

永田町が自分のことしか考えない頼りない連中ばかりなので、共産党の存在感が高まるばかりの今日この頃である 

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