プロメテウスの政治経済コラム

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裁判員候補者、11万8500人が「辞退希望」と回答  改めて問う「裁判員制度」

2008-12-20 19:07:08 | 政治経済
来年5月に始まる裁判員制度で、約29万5000人の裁判員候補者のうち4割にあたる約11万8500人から、12月18日までに辞退を希望する回答票が返送されたという(「読売」12月19日19時46分配信)。不安、不満…辞退したいというのが、裁判員候補者の大方の胸の内だろう。
「裁判員制度」は本当にひどい制度である。「裁判員制度」によって、冤罪・誤判を生む日本の刑事裁判の構造的欠陥が少しでも改善されるどころかますます悪くなる。「裁判員制度」は国民の司法参加の美名のもとに、国民を冤罪・誤判を生む日本の刑事裁判の共犯者に仕立てるものだ。
日本には、大は死刑や無期懲役の事件から、小は執行猶予付きや罰金の事件に至るまで、冤罪・誤判がたくさんある。これは、日本の刑事裁判に構造的欠陥があるからである。いま緊急に必要なことは、この冤罪・誤判を生み出す構造的欠陥にメスを入れることであって、国民の司法参加が必要というなら、その後でゆっくり考えればよい。

構造的欠陥の第一は、職業裁判官の人事システムである。職業裁判官は、第一に処理件数、第二に判決内容により、人事評価される。裁判官は、常時200件程度の事件を抱える。無罪事件となると開廷回数が増え、一開廷あたりの審理時間も長くなる。無罪事件は、処理件数に追われる裁判官にとって重い負担となるさらに、無罪判決は、すなわち警察・検察批判であり、無罪判決を出す裁判官は、最高裁事務総局を頂点とする裁判所組織内の人事処遇制度において、任地、地位、給与等において冷遇される官僚司法制度の組織の全体のあり方として、捜査を無批判に受け入れることを動機付ける構造となっているのだ
わが国の刑事司法は、「検察官司法」と呼ばれるほど、検察官の役割が大きく、刑事裁判官は、検察に対して無批判となっている。


第二の欠陥は、第一の欠陥の根底にあり、第一の欠陥を増幅する。第二の欠陥は、いわゆる刑事司法が「人質司法」と言われるように捜査のあり方が出鱈目であるということだ。被疑者が否認しようものなら、保釈は認められず、安易に長期間の身柄拘束が行われる。拘留請求の却下率は1%にも満たない。代用監獄の密室で、頭ごなしに犯人視した取調べが長時間行われる。心理的に追いつめ、捜査官の“作文”である供述調書が大量につくられ、供述調書が法廷で採用される。代用監獄は「自白の強制装置」であり、刑事裁判法廷は「有罪か無罪かを判断するところではなく、有罪を確認するところ」となっている。
過去の数多くの冤罪・誤判が示すようにわが国の警察は、いともたやすく、無実の者を虚偽自白に落とし、重要な参考人の供述を自分たちのストーリーどおりにねじ曲げる力を持っている。そして、捜査機関に無批判な裁判官は、冤罪・誤判を生み出す自動装置となっている


第三の欠陥は、第一、第二の欠陥のコラテラルとして、わが国では、「疑わしきは被告人の利益に」という刑事裁判の鉄則が守られていない。有罪率が99・9%を超えるなかで職業裁判官は「有罪への流れ作業」に慣れ親しんでいる。

裁判員制度は、このような構造的欠陥を抱えた日本の刑事裁判に無理やり組み込まれ、死刑や無期の判決の共犯者にされる制度なのだ。
いやそれどころか、「裁判員制度」の導入に伴って、被告人の防御権の保障や、捜査のあり方が、現状よりもさらに改悪されようとしている。
裁判官が参加する公判の前には、「公判前整理手続」が行われることになったが、弁護人が公判前整理手続中に、すべての証拠調べの請求を終えることは困難である。ところが公判前整理手続終了後は、あらたな証拠調べの請求は原則として出来なくなった。科学的鑑定などは、長い時間がかかる。裁判員の負担軽減の美名のもと、行き過ぎた「迅速、軽負担、平易化」が行われ、おざなりの審理が行われようとしているのだ。
12月9日の広島高裁判決はペルー国籍ヤギ被告の強制ワイセツ致死事件で、「審理を尽くしていない。違法だ」として、1審・広島地裁判決を厳しく批判した。裁判員裁判のモデルケースとして、争点を事前に絞り込む公判前整理手続を導入したが、必要な審理を尽くしていないということだ。

このような雑な裁判に付き合わされたうえに、裁判員は「評議の秘密」を一生涯守らなければならない。冤罪・誤判の共犯者の口封じを狙っていると勘ぐられても仕方ないであろう
今やるべきことは、「自白の強制装置」や職業裁判官の人事評価の抜本的な改善であって、「裁判員制度」の導入ではないことは明白だ。

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1 コメント

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Unknown (an)
2008-12-20 19:12:04
はじめまして。
安と申します。

突然失礼いたします。

犯罪組織は、世界どこの国でもあります。
しかし、
世界どこの国でもある犯罪組織とは違って、
一部の政治家、裁判官、警官、全国役所の一部役人、医師、先生、
PTAの一部役員、町会の一部役員、市民団体を始め各種団体の人、
芸能人、システムエンジニア、実業家、ヤクザなどが組織のメンバーになって、
ITという最先端技術を使い、
裏で日本の社会を支配している組織が日本にいるとしたら信じますか?

この組織の掲示板には「世界征服」「助成金」などが書いてあり、
私がアクセスした直後になくなりました。

詳細なことは、
お手数をかけて申し訳ございませんが、
http://blog.yahoo.co.jp/ansund59 をご覧ください。

偽警官が警察署を自由に出入りし、偽裁判官が裁判所で法の悪用をし判決をし、
裁判記録の改ざんもあり(最高裁判所まで)

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