プロメテウスの政治経済コラム

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防衛施設庁―談合事件、基地反対妨害メール

2006-02-03 18:17:12 | 政治経済
防衛施設庁の官製談合事件は、空調設備工事をめぐる入札妨害にとどまらず、ゼネコンもからむ大型事件に拡大しつつあります。一方、防衛施設庁が在日米軍再編に反対の声を上げる自治体に圧力と介入を指示していた実態を暴露した共産党の井上哲士参院議員の国会質問(一日、参院予算委員会)が反響を呼んでいます。額賀福志郎防衛庁長官は「防衛施設庁解体」発言を繰り返し、目先の批判をかわそうと必死ですが問題の焦点をすりかえる誤魔化しに過ぎません。
1月30日、現・前職の審議官ら3人が逮捕された防衛施設庁の官製談合疑惑が広がりをみせていますが、同庁が2001年度から04年度までに発注した在日米軍施設における建設、土木などの工事のうち、落札率(予定価格に占める落札額の割合)が95%を超える工事は八割にのぼっています(日本共産党の吉井英勝衆院議員事務所調べ)。一般的に落札率が95%を超える入札は、談合の疑いが高いとされています。在日米軍施設内における工事の大半は「提供施設等設備費」などという名目のいわゆる「思いやり予算」で、本来、日本政府が負担する必要のないものです。
四年間の発注工事総数は1512件で、平均落札率は97・4%。このうち落札率95%を超えたのは1234と82%に及んでいます。また予定価格と落札額が一致した落札率100%の工事は117件となっています。
官製談合の根源になっているのは、高級官僚などの天下りの横行です。現行では、離職後二年間、民間企業への天下りが規制されているだけで、(二年間外郭団体等で待機すれば)それ以降は野放しです。公団の役職員については、何の規制もありません。防衛庁では1998年、装備品の納入をめぐる水増し事件がありました。OBの天下りの見返りという意味で今回とまったく同じ構図です。
在日米軍再編に全国で反対の声が渦巻く中、防衛施設庁が関係自治体との「調整」にあたる現場責任者に、地方議会の動きを監視し、反対意見書の採択を阻止するよう電子メールで指示していたことを一日の参院予算委員会で、日本共産党の井上哲士議員が明らかにしました。井上氏が暴露したのは、再編問題で自治体との「調整」を進める防衛施設庁地元調整実施本部事務局総括班長が送信したメール(昨年十二月十三日付)です。あて先は、仙台、東京、横浜、大阪、広島、福岡、那覇の各防衛施設局の施設部長を含む十五人です。メールは「地元議会が、…(米軍再編に関し)反対の意見書を議決しそうな動きがあるか否かについて常にウォッチしていただき…速やかに本庁担当窓口にお知らせ願いたい」「そのような議決をしないよう関係者の理解を求める動きをして欲しい」と指示しています。「地元の小さな動きに対しても敏感に対応して欲しいとの、御指導もございます」と上層部の指示であることを匂わせる文言もあります。
井上哲士参院議員の国会質問については、なぜか全国紙は無視しましたが、米軍基地を抱える沖縄、神奈川などの地元紙が二日付でこの問題を大きく報じ、反響を呼んでいます。「沖縄タイムス」は「施設庁 再編で『圧力』」の大見出しで報道。メールの全文も掲載し、「首脳からの指示を示唆する内容も含まれており、『圧力』とも取れる政府の姿勢に波紋が広がりそうだ」とのべています。また、同社の取材に対し「複数の関係者」が「メールの存在を認めた」としています。「神奈川新聞」も井上議員の質問の内容を詳報。共同通信は「防衛施設庁が圧力メール? 共産が指摘」とのタイトルで記事を配信。「山陽新聞」「中国新聞」のホームページも、それぞれ速報として掲載しました。
耐震強度偽装事件、ライブドア事件、格差社会と貧困の広がり、BSE(牛海綿状脳症)対策の無責任さ、防衛施設庁の官製談合事件などをめぐる論戦を通じ、「朝日」社説が「小泉政権は末期症状を呈し始めた」(2月3日付)と言わざるをえなくなっています。2月2日の「日刊ゲンダイ」メールは『一日も早いデタラメ内閣の退陣が必要』の見出しで「内政・外交すべてに行き詰っているというのに、何ひとつ解決できない小泉内閣の無能無責任ぶりはここに極まれり。首相を筆頭にほとんどの大臣、党役員のレベルが低く、構造改革という名のペテン、デタラメの限りを尽くしてきた結果だ。こんな政治がよく5年も続いたものだと呆れんばかり。こんな政権を何カ月も存続させていてはダメだ」と有権者の奮起を呼びかけています。



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