プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

イラク侵攻5年  強盗の身の上を案じる「読売」、「朝日」の異常

2008-03-20 19:06:31 | 政治経済
米、英連合軍などのイラク侵略戦争開始から5年となる3月20日を前に17日、18日、「読売」、「朝日」が社説で“イラク戦争5年”をとりあげた。対米盲従の度合いで「朝日」、「読売」には違いはあるが、ともに「米国の力の低下が心配だ」(読売)、「米国の消耗が心配だ」(朝日)と強盗の身の上を案じているのには驚いた。両紙とも一応、イラク人の死者15万人などと触れてはいるが、強盗に押し入られ、理不尽な苦しみを強いられているイラク人への同情―強盗への怒りのひとかけらもない。そこからは、強盗に加勢する日本の異常についての深刻な反省も当然に出てこない。

アメリカのブッシュ大統領がイラクを侵略して無法な戦争を始めたとき、日本政府は当然のように、それを支持して支援に踏み出した。しかし、ブッシュがイラク攻撃を正当化するために使った開戦の口実―フセイン政権が大量破壊兵器を持っているということも、アルカイダとつながっているということも、すべてウソだったことが暴露された。イラク戦争はまさしく「仕組まれた戦争」(ノーマン・ソロモン)だった。ベトナム戦争からイラク戦争に至るまで、アメリカ政府は、自国民及び同盟国を戦争に引きずり込むため常にウソの情報で国民や同盟国をだまし、大手マスゴミがそれを煽るという手口をとってきた。

強盗ブッシュによってイラク国民はどんな苦しみを強いられているのか。
国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは17日、米軍主導のイラク侵攻から五年たってもイラクは「大虐殺と絶望」に置かれているとする報告をまとめた。イラクの人権状況は「壊滅的」だと述べ、同国は現在「世界でもっとも危険な国の一つ」だとしている。
報告は、「イラクでは宗派間暴力がイラク市民の命を奪っているだけではない」とし、米主導の連合軍およびイラク治安部隊による「過剰な武力行使、故意の殺人や無差別攻撃によっても(市民が)殺害されている」と言い、「民間軍事会社」の市民殺害も指摘している。
報告はイラク市民の現状について、「三人に二人が安全な飲み水を利用できず、十人に四人が一日一ドル以下で生活している。就労人口の半分は失業中で、八百万人の人々が生存のための緊急支援を必要としている」と述べている(「しんぶん赤旗」3月20日)。

米軍はイラクでどんなにひどいことをやっているか。
ワシントン近郊で開かれていた米国のイラク侵略の実態を告発する帰還兵の証言集会「ウィンター・ソルジャー」では、イラクの人々を「人間扱いしない」米軍の姿を浮き彫りにする発言が相次いだ。
陸軍伍長だったマイク・トッテンさん(26)は、「“ハジ(巡礼者)が邪魔だ。車でひいてしまえ”などと非常に人種差別的な言葉を使った」「イラクの人々を二級市民のように扱った」と述べた。
基地の警備に当たっていたジェフリー・スミスさん(元陸軍州兵)は、攻撃を受けた部隊が「斬首した遺体を山積みに」したトラックで戻ってきたのを目撃した。若い兵士が「おれたちはこいつを完全に駄目にしてやった」と頭部を持って誇っていたと、米軍の狂気ぶりを語った(「しんぶん赤旗」3月17日)。

「読売」、「朝日」社説には、理不尽な侵略戦争によって、人生を滅茶苦茶にされたイラクの人びとに対する人間としての当然の同情と強盗アメリカに対する怒りがまったくない「読売」にいたっては、強盗が押し入ったのは、フセインのせいで、ブッシュは当然のことをしたとまでいう。もはやイデオロギー云々を超えて人間的退廃の極みを感じる。朝日」にはそこまでの荒廃はないが、強盗の身の上を案じる点では似たり寄ったりであるそこに共通して見られるのは、強盗アメリカが世界を支配することが、日本の安全だという骨の髄まで浸み込んだ卑屈な対米従属である。
20日を前に、世界各地では反ブッシュの反戦行動が始まっている。「読売」も「朝日」も強盗がいつまでも世界でのさばっておれると考える愚かさを思い知るべきだ。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。