プロメテウスの政治経済コラム

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拉致問題進展に本当は熱心でない安倍政権

2018-05-02 19:05:28 | 政治経済

「拉致問題は安倍内閣の最重要課題」と言い続けてきた安倍首相。南北朝鮮首脳会談で金正恩委員長が、「いつでも日本と対話を行う用意がある」という発言をしたことを、南北会談の翌日(28日)のトランプ大統領との約30分間電話会談やその翌29日の文在寅大統領との約40分間電話会談、来日した徐薫国家情報院長からの80分間にわたる説明で知っていたにも関わらず、「詳細な説明を受けたが、詳細については差し控えたい」「詳細は現段階で申し上げられない」などと繰り返し、中東外遊に飛び立った。

元レバノン大使の天木直人氏は言う。「安倍首相が金正恩委員長の反応を最初に知らされたのは、トランプ大統領との電話でしょう。トランプ大統領と文在寅大統領に拉致問題の提起を頼み込んでいたわけですから、満額回答と言っていい。それなのに自分の口から一切明かさず、喫緊の課題もない中東へ向かった。日朝首脳会談が実現すれば、拉致問題をめぐるウソがばれてしまうからではないか。」

安倍政権は3年前のストックホルム合意に基づく再調査結果を正式には受け取っていないことにしている。再調査の対象は、北朝鮮国内にいるすべての日本人すなわち、拉致被害者と行方不明者・残留日本人・日本人妻・日本人遺骨。ジャーナリストの伊藤孝司さんによれば、北朝鮮当局は、残留日本人と日本人妻たちだけでなく、「よど号グループ」まで複数の担当が出向いてきちんと調査をしたことが分かっている。政府はその結果を聞くため、中国・瀋陽で協議したり訪朝団を派遣したりしている。しかし、安倍首相が国内で格好つけられる内容ではなかったので受取っていないことにした。

北朝鮮からすれば拉致問題は解決済み。日本側がストックホルム合意による再調査報告書を受け取らないから、宙に浮いたままの形になっているだけなのだ。3年以上も何もしないで拉致被害者家族や日本国民に気を持たせてきた。日朝首脳会談が実現すれば、本当は熱心でない安倍政権が明らかになるだけだ。


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