プロメテウスの政治経済コラム

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外資系企業献金解禁―自民・経団連の身勝手な思惑

2006-03-19 18:55:08 | 政治経済
自民党は、現行の政治資金規正法で禁止されている外資系企業の献金を緩和する改悪案をまとめました。与党の公明党と調整のうえ今国会に提出しようとしています。次期日本経団連会長・御手洗冨士夫氏はキヤノン株式会社の社長です。外国人株主の比率が50%を超えるキャノン、オリックス、HOYAなどは現行政治資金規正法のもとでは献金を禁止されています。いっそうの献金拡大で政治への影響力を行使したい経団連と、企業献金の増額を求める自民党にとっては非常に不都合な事態です。

日本経団連は昨年10月、奥田会長の後任にキヤノンの御手洗冨士夫社長を充てる人事を内定しました。そのさい会長を出す企業が「外資」として献金規制の対象となっていることが問題になり、御手洗氏も制度の変更を求めました。関係会社が経団連の呼び掛けに応じて献金を行っているのに本体が献金できないのでは格好がつかないというわけです。

自民党にとっては外資系企業が増えるなかで、献金規制は企業・団体献金を増やす障害になっていました。自民党の言い分はこうです。
近年の資本の自由化で、有力企業でも外国人株主の比率が五割を超える例が増えてきた。たとえば東証一部上場企業でも、キヤノン、オリックス、日産自動車まで「外資」だ。外資系企業による日本企業の買収が容易になる改正会社法が2007年から施行されれば、さらに資金源が先細りする。だから規制緩和だ――。

政治資金規正法は、外国人等からの政治献金受け入れを禁止しています(22条の5)。国の政治や選挙が外国人や外国の組織・政府などによって影響を受けることを防止するという趣旨です。違反には「三年以下の禁固又は五十万円以下の罰金」という罰則も設けています。規制の対象には、外国人や外国法人だけでなく「主たる構成員が外国人若しくは外国法人である団体」が含まれ、総務省の見解では、株式会社の場合、発行済み株式の過半数を外国人・外国法人が保有する会社もこれにあたるとされています。

自民党案はこの規制をとりはらい、(1)日本に本社がある(2)日本の証券取引所に上場している―の二条件さえみたせば、外資系企業に献金を認めようとしています。
そもそも政治資金の提供は、主権者である国民の政治参加の手段のひとつであり、主権者ではない企業に、その権利を認めることは、不当といわなければなりません。企業・団体はさまざまな政治信条の人々で構成されており、自然人ではない団体の一部の代表者が勝手に特定政党に献金することは許されません。日本に国籍のない外国人や外国企業に献金が認められないのも当然の原則です。

「官から民へ」をスローガンに規制緩和と民間開放を進める政府の「規制改革・民間開放推進室」。同室が毎年各界から募集する「規制改革要望」で、毎年提出件数のトップを占めているのが日本経団連です。要望が政府計画に盛り込まれた「実現率」でも、経団連が常に上位。オリックスなどの民間企業や業界団体も上位に並びます。社会の「弱肉強食」化を進める規制緩和が、経団連をはじめとする財界の意向にそって進んでいるのが小泉自民党政治の実態です(「しんぶん赤旗」2006年3月19日)。大企業の利潤追求を最優先にし、規制緩和万能、市場原理主義をすすめる小泉内閣の経済路線は、経済財政諮問会議をはじめとして政権の中枢に財界が直接乗り込み、金による財界の政治支配がつくられたことですすみました。

献金の見返りを期待し政治への影響力を行使したい財界と、企業献金の増額をめざす自民党が足並みをそろえた結果が今回の規正法改悪です。いまこそ企業・団体献金禁止の声を上げるときです


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