プロメテウスの政治経済コラム

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米軍関係経費7000億円突破  アジアの軍拡、欧州の軍縮  日本、韓国駐留米軍が癌

2010-09-29 18:39:49 | 政治経済

今朝の「しんぶん赤旗」は一面トップで「在日米軍経費、日本負担 初の7000億円台」と報じている。「戦争という選択肢」自体が「時代遅れ・期限切れになっている」(マハティール・マレーシア元首相)と言われる中で、日本、中国などアジアでは軍拡が続いている。一方、欧州ではすでに、英国が2014年までに25%、フランスは今年度15%、イタリアは10%削減予定であり、ドイツも今後5年間で日本円にして1兆円以上の削減を検討している
アジアではなぜ軍拡がすすむのか。言うまでもなく、在日、在韓米軍が脅威をふりまいているからである。米軍の脅威に対抗するために中国は軍拡を続け、北朝鮮は先軍政治を続けている。中国、北朝鮮の脅威が日本、韓国を米軍にしがみつかせ、米軍基地の軍事的な脅しが相互の軍事力増強を招く癌となっている。
私は、アジアにおいて日本が過去にやってきたことを考えても、日本こそがまず軍縮の先頭に立つべきだと思う。財政危機で福祉を切り捨てるぐらいなら、米軍基地の経費負担こそ削るべきだ。

在日米軍の活動経費のうち、日本側負担分の総額が今年度、初めて7千億円を突破し、7146億円に達した。在日米軍のための経費というのは、防衛省分の米軍「思いやり予算」や基地周辺対策費、総務省など他省庁分、米軍用地の借り上げ料で構成される「在日米軍駐留経費」に、在日米軍再編経費、SACO(沖縄に関する日米特別行動委員会)関係経費を加えたものである。これまでの最高額は2000年度の6916億円で、1995年度以降は6千億円台で推移してきた。これが、今年度7000億円を突破したのだ(「しんぶん赤旗」2010年9月29日)。

上表のように、在日米軍関係経費は複雑な構造になっている。1960年の日米安保条約改定後、日本が米軍に支払ってきた経費は日米地位協定上の根拠を持つ土地の賃借料や基地周辺自治体への交付金などに限られていた。しかし、78年度に地位協定を拡大解釈した米軍「思いやり」予算が始まり、それも限界に達すると87年度に特別協定をかわし、「思いやり予算」をさらに拡大してきた。現行の協定は今年度末に切れる。さらに96年度から沖縄県内の基地たらい回しを進めるSACO経費が、2006年度から総額3兆円とも言われる米軍再編経費が加わった。まさに、屋上屋を架してきた“違法建築”のような状態なのだ(「しんぶん赤旗」同上)。
毎年、6000億円も負担してくれたら、少々の反基地の声があっても米軍は居座り続けようとするだろう。米軍が居座り続けたら、住民の基地被害の苦しみが続くだけではなく、アジアの「平和を脅かす」

 マレーシアのマハティール・モハマド元首相は、「しんぶん赤旗」記者のインタビューに答えて次のように語る。 <日本に駐留する米軍に関連して言えば、軍事的脅威は、戦争の危険を増やすと考えています。在日米軍基地は明らかに中国にとって脅威となり、中国側の反応は軍事能力を高めるということになるでしょう。軍事的エスカレーションが起こりかねません。平和にとって、いいことではありません。今日(の世界)では他国を打ち負かしても、その後に平和は生まれません。軍事的な脅しは間違いであり、もう期限切れなのです。私は中国が日本を攻撃したがっているとは思いません。もしそのようなことをしたら、中国自身に破壊的な結果をもたらします。国際社会は不満を持ち、対抗するでしょう。自国に破壊をもたらす戦争を望んでいるとは考えられません。日本は、米軍基地がなくても安全保障を図ることが完全に可能です。中国の脅威は粉飾されています。東南アジアの国々は、米軍も、どの外国軍の駐留も必要としていません。現在この地域には外国軍の基地はありません。最後の米軍基地は、フィリピンが撤去を求めました。いま(世界)各国は外国の軍事基地を持つべきではありませんし、持たないという方向に行くべきだと私は考えます>(「しんぶん赤旗」2010年9月12日)。

 先月、平壌を訪問したとき、政府関係者は、要旨次のように語っていた。南朝鮮の在韓米軍基地には、何発もの核が秘匿されている。在日米軍基地にも密約で核の持ち込みが自由である。在韓、在日の米軍の脅しがなくなれば重い負担である核開発はすぐにでもやめる。
在韓、在日の米軍がアジアの「平和を脅かす」元凶なのだ。


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