プロメテウスの政治経済コラム

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「大阪都」構想のインチキ  すれっからしのチンピラタレント  橋下大阪府知事の場合

2010-12-24 20:18:44 | 政治経済

 新たな大都市制度を議論するため、大阪府の橋下徹知事が設置した府自治制度研究会は22日、知事が目指す「大阪都」構想の導入は困難とする意見をまとめた。橋下知事の肝いりで発足した研究会に、大阪都構想のインチキを暴露された橋下知事は、「府の一研究機関が間違ったコメントをするのはやってはいけないこと」などと強がりを言っている。関西州構想にしても、大阪都構想にしても、もともと、彼にとってはどうでもいいことで、単なるデッチあげ、本気でできるなどとは思っていない。教養のない大阪府民を惹きつけるこけおどしに過ぎないのだ。すれっからしのチンピラの面目躍如と言ったところである。

 

「橋下さん、本当に本気なんですかね。もののはずみで言っちゃってひっこみつかなくなったんじゃないの?」。橋下徹知事が掲げる大阪都構想について、ある総務省幹部はそんな感想を述べる(「産經」 124日)。
大阪都構想とは、要するに、大阪府と政令指定都市の大阪、堺両市を、東京都のような広域行政体の「大阪都」と、東京23区のような「特別区」に再編しようというだけで、中身はなにもない。 橋下氏に勝手なことを言われて、大阪市も堺市も大迷惑だろう。批判を回避するためには、考えのない大阪府民を抱き込むしかない。「大阪都構想」を来春の統一地方選の争点に掲げ、自分が代表をつとめる地域政党「大阪維新の会」の候補が、なんとか三つの府市議会で多数となることをめざすことになる。朝日新聞社が府民を対象に朝日放送と共同で実施した世論調査では、都構想について賛成が43%、反対が28%。橋下知事の支持率は78%だった、という(「朝日」20101025日)大阪府民は、中身がなにもない大阪都構想のどこに賛成したのだろうか。橋下氏を支持する府民は、具体的に何かを考えて支持しているわけではない。過激な言動でマスコミの注目を集める橋下知事に、沈滞した大阪にとって、漠然とした新風を期待しているだけなのだ。

 

しかし、橋下氏がやろうとしていることは、新風でもなんでもない。橋下氏がやろうとしていることは、すでに破たんした開発優先・大企業呼び込みのための自治体づくりであり、あらゆる分野への「競争」の持ち込みである。伊丹空港の廃港・関西空港のスーパーハブ空港化とリニア新幹線構想、かつての企業呼び込み方式の開発が破たんした大阪市の「咲洲(さきしま)」地区再開発とその“起爆剤”としての大阪ワールドトレードセンタービル(WTC)への府庁移転、現府庁周辺(大阪市中央区大手前)の再開発、高速道路建設などの大型開発である。このような大型開発をやろうとすれば、いまの大阪府の財源と権限ではどうにもならない。そこで、関西州をぶち上げてみたが、関西州の州都がなんでベイエリアになるのか、説明ができない。都(みやこ)なら京都の方がふさわしいし、奈良も黙っておれない。そこで、今度は大阪都を言い出した。大開発のために、大阪市や堺市の財源と権限を大阪都に集中しようというのであるしかしこれは、どこか地方分権とは話が違う。だから、これまで橋下を地方分権改革の先兵として、さんざんに利用してきた民主党の岡田克也幹事長は23日、橋下知事が提唱する「大阪都構想」について「大阪市を分割して府に権限と財源を持っていく印象を持つ。住民から遠いところに権限が行くのは地方主権でも何でもない」と批判。さらに「(大阪都構想について)いろいろ勉強したが、どうも何を言っているのか話がよくわからない」と切り捨てることになった。

大型開発と並んで、橋下知事は府政の各分野で「競争する」ことを府民に求める。際立つのは「教育日本一」をかかげる教育の分野である。府独自のいっせい学力テストの実施や、公立高校10校を東大や京大などをめざす進学指導特色校にするという。橋下知事は、「国際社会は食うか食われるかの激烈な競争。どんなことがあっても競争させる」とまくしたてる。私学授業料の無償化(年収350万円以下)を独自に実施することにしているが、その財源は府職員の賃金を取り上げ、「公私間で競争し、生徒が集まらない学校は退場してもらう」ためである。橋下氏の競争第一主義には、彼独特の哲学がある。「強いものが勝つ、勝った者が正しい、弱い者は従え、従わない者は切る」ということだ。つまり彼の競争は、弱肉強食の動物の世界であり、奪い合い合戦である。スポーツの競争にように切磋琢磨して共に生きるというのではない。
昔、私たちの子ども時代には、「弱い者いじめをしてはいけない、笑い者にしてはいけない」と教えられたものである。橋下知事のもとで、多くの大阪府民が「弱い者をさらし者にして笑い飛ばす」文化に染まっていくのは悲しい。

 


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