プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

バグダッド連続テロ 「地獄の門」を開いてしまった米国はどう責任をとるつもりか

2006-11-25 20:09:22 | 政治経済
イラクの現状は、まさに米英軍のイラク攻撃が「地獄の門」を開いたという事態が続いている。その中心問題は、米英軍がイラクの主権を侵犯して抵抗を呼び起こすとともに、「テロ」をはびこらせ、諸勢力の対立を煽る分断統治が宗派対立・民族対立を引き起こす元凶になっているということである。それだけに、いかに困難でもイラクの諸勢力が対立を克服し、真に主権を行使できるようにしていくためには、占領外国軍という災いの大本を取り除いてゆく見通しをはっきりさせることが必要である。しかし、米軍がただ徹底すれば良いというわけにはいかない。イラクを滅茶苦茶にしてしまったアメリカにどう責任をとらせるか。

イラクの事態はアメリカの言う「対テロ戦争」ではない。宗教・宗派や部族間の対立はいまや内戦そのものである。イラクで、血なまぐさいテロの応酬と抗争を続けているのは、各宗派・勢力のなかの一部の組織によるものである。これらの武装・テロ組織は大別して、イスラム教スンニ派、シーア派、クルド人の組織、それに国際テロ組織アルカイダとつながりがあるとみられるテロ組織の4グループである(「しんぶん赤旗」2006年11月25日)。

イラクの治安を回復させるためには、イラク情勢を対テロ戦争と位置づけるブッシュ政権の誤りをまず正さなければならない。そのうえで、占領外国軍のできるだけ早い撤退とともに、イスラム国を主体とした国連治安回復部隊を派遣することによって内戦を沈静化させるほかないであろう。主権を回復したイラク国民は自主的に、宗教・宗派や部族間の対立を克服しなければならない。

イラクを先制攻撃したアメリカに対する反米感情はイスラム世界だけでなく、地球規模で広がっている。
米国は身近な同盟国や隣国からも「世界平和の脅威」とみなされている―英紙ガーディアンは11月3日、英国やイスラエルなど米国との関係が最も親密な四カ国での世論調査の結果を伝えた。この調査によると、2001年以降米国の外交政策が世界をより危険にしたと考える人は、英国で69%。米国の隣国カナダで62%、メキシコで57%であった。安全保障を米国に大きく依存するイスラエルでさえ、米国が国際紛争の危険性を高めたと答えた人が36%に上り、安全にしたと答えた25%を上回った。イラク侵攻を正当化できないと考えている人はメキシコで89パーセント、カナダで73パーセント、イギリスで71パーセントに達している。イギリスの場合、75パーセントの人がジョージ・W・ブッシュ大統領は世界にとって危険な人物だと考えている。この数字はオサマ・ビン・ラディンの87パーセントに次ぐもので、朝鮮の金正日総書記(69パーセント)、ヒズボラのハッサン・ナスララー(65パーセント)、イランのマフムード・アフマディネジャード大統領(62パーセント)を上回っている(「しんぶん赤旗」2006年11月5日)。

イラクを滅茶苦茶にしてしまったアメリカは、せめてもの罪滅ぼしのために今度は平和的手段でイラク復興支援に尽くすべきだ。復興資金は米英にすべての責任をとってもらおう。

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