プロメテウスの政治経済コラム

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史上初の米朝首脳会談をどう見るか  非核化問題を中心に

2018-06-13 16:34:19 | 政治経済

 一度は中止とされたシンガポール米朝首脳会談が6月12日予定通り開催され、トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は「朝鮮半島の完全な非核化」と「北朝鮮に対する安全の保証の提供」を米朝が相互に約束する「共同声明」に署名しました。

北朝鮮のみに短期間での「非核化=CVID(完全かつ検証可能で不可逆的な非核化)」を求める欧米諸国や韓国・日本の保守勢力からは、“見掛け倒しの会談”だとの批判もあるようですが、そうではありません。「共同声明」(第3項)の「4・27板門店宣言を再確認し、北朝鮮は朝鮮半島の完全な非核化に向けて努力することを約束する」という「完全な非核化」はCVIDのことです。実際、CVID実現のためには、機械的・物理的・科学的に数年を要することをトランプ大統領も理解したのでしょう。 

 非核化の目標を達成する米朝の態度と方法論は、「互恵」と「信頼」がそのキーワードです。「金正恩委員長は、朝鮮半島の完全な非核化に向けて、揺らぐことのない確固たる約束を再確認した」というのは、「トランプ大統領は、北朝鮮の体制保証を提供することを約束」という文言と一対になっています。「非核化-体制保証」の交換、まさに「互恵」です。「相互信頼の構築が朝鮮半島の非核化を促進できると認める」という文言も、「新たな米朝関係の樹立が朝鮮半島と世界平和、繁栄に貢献すると確信」するという文言と対をなしています。 

金正恩委員長とトランプ大統領との首脳会談は、「世界に残存していた冷戦の最後の遺産を解体する一助となった歴史に残る出来事」(韓国・文在寅大統領)でした。非核化と平和体制構築を実現するためには、米朝両国の努力とともに、関係各国、国際社会の協調したとりくみが必要です。平和を求め、核兵器のない世界を求める諸国民の世論と運動でこの歴史的事業を支援しましょう。


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