プロメテウスの政治経済コラム

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「緑資源機構」の官製談合事件  血税をくいものに特権階級だけがいつまでも甘い汁

2007-05-26 21:07:15 | 政治経済
緑資源機構は、特殊法人の見直しで2003年10月に発足した農林水産省所管の独立行政法人(前身は森林開発公団と農用地整備公団を統合した緑資源公団)である。造林、林道整備、農地開発などを主業務としており、現在、「緑資源幹線林道」を全国七つの山地(北海道、北上、最上・会津、飛越、中国、四国西南、祖母・椎葉・五木山)で建設している。政官業癒着の還流のメシの種=無駄な公共工事の典型だ。
「緑資源機構」発注事業の官製談合事件で、公正取引委員会の強制調査を受けた同機構をはじめ6つの公益法人は、農水省・林野庁が発注した林道整備事業の44%を受注している。また、6法人への天下りは217人、役員総数の42%にものぼる。天下りと事業の受注が連動するように談合が仕組まれていた(「しんぶん赤旗」2007年5月10日)。
予算配分の責任者、自民党・松岡利勝衆院議員(「ナントカ還元水」で有名)は、森公弘済会の塚本隆久理事長(元林野庁長官)から60万円の献金を受け取っているのをはじめ、強制調査を受けた林野弘済会(184万円)、林業土木コンサルタンツ(96万円)などから献金を受けとる仕組となっていた。松岡農水相が今回捜索を受けた法人や会社などから05年までの10年間に受け取った献金は、わかっているだけで852万円である(「しんぶん赤旗」2007年5月26日)。
緑資源機構は、林野庁の最有力の天下り先の一つで、理事長は林野庁長官退職者の指定席とされ、高級官僚が同機構や機構の業務請負先である公益法人、関連民間会社などを渡り歩き、退職後に億を超える報酬を手にするという仕組みが代々つくられている。談合に関与した公益法人へ天下った林野庁OBの役員は理事長クラスで年収千二百万―千五百万円の役員報酬を受け取る(「しんぶん赤旗」2007年5月1日)。

今回、談合が明らかになったのは、緑資源機構の緑資源幹線林道事業にかかわるコンサルタント業務である。この林道事業は、複数県にまたがる総延長二千五十三キロメートルもの林道ネットワークをつくるという巨大プロジェクトである。一度決まったら絶対に止まらない無駄遣いの公共事業の代表格で、血税を政官業で分け合うメシの種となっている。無駄遣いの公共工事のなかで「身内」の公益法人や天下り業者を使い、事業の推進に都合のいいコンサル業務をさせながら、天下り先確保のための官製談合をする、受注業者は、受け取った税金を次年度以降のために政治家に一部還流する――税金の無駄遣いは二重三重、国民はふんだりけったりである(「しんぶん赤旗」5月26日)。

安倍内閣の公務員「改革」が天下りを規制するどころか、形を変えて天下りを自由化・合法化するのは、この官業癒着体制を政治家としても壊せないからである。事業を政治資金源にしたい政治家にとって、天下り官僚の業者「指導」はなくてはならない手続きの一環である。
教育や福祉に税金を流しても、高級官僚や政治家の懐に直接還流することはまずない。公共工事や莫大な献金をもらえる企業や団体向けに政治を行うことは明日の自分たちの懐を潤し、その先も保証する道である。懐からむしり取られるだけの庶民は政治家を雇うことができない。どうするか。カネをもらわなくても庶民のために働いてくれる政党や政治家を投票によって議会に送ることは、カネがなくても出来る。共産党は嫌いだなどといっている場合ではないと思うのだが、どうだろうか。

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