プロメテウスの政治経済コラム

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選挙が終わって   安倍自民党が「独裁」的な力を獲得   暴走をいかに食い止めるか

2013-07-24 18:24:34 | 政治経済

第23回参院選の改選議席121の各党獲得議席数は、自民党65、民主党17、公明党11、共産党8、みんなの党8、日本維新の会8、社民党1、諸派・無所属3となった。この結果、自民党と公明党の与党議席は参院の過半数を超え、自民党は衆参両院で「安定多数」を獲得し、思い通りに議会運営を行って法案を通すことができる「独裁」的な力を獲得した。有権者は、暮らしの安心、安定をかつての「自民1強」時代に求めたのだろうか。だが、時代は、かつての「自民1強」時代と大きく異なっている。グローバル企業の政治的代理人である安倍自民党は、かつてのように利益誘導型政治によって富の再分配をすることが不可能である。一方的に、国民大衆に痛みを押し付けることだけが、グローバル企業の要求であるからである。「いろいろあっても経済は自民党」というのは、昔話の幻想にすぎない。グローバル企業が要求する新自由主義「構造改革」によって、国民経済は疲弊する一方である。このままでは、溶解に向かうほかない国民国家をいかに維持すればよいのか。安倍自民党は、復古主義的国家主義政治に活路を求めようとしている。こうして、経済政策でも、原発や憲法問題でも安倍自民党は、国民大衆の利害と鋭く対立せざるをえない。「独裁」的な力を獲得した安倍自民党はさっそく暴走の姿勢をあらわにしている。国民の意思と国会の議席のねじれは拡大するばかりである。暴走をいかに食い止めるか

 

国民の生活と安全を脅かす安倍政権の悪政スケジュールが目白押しである(「しんぶん赤旗」2013年7月24日)。

 

今回の選挙では、安倍政権批判の大きな「受け皿」として共産党が健闘したが、参議院の議席数は、自民 115 民主 59 公明 20 みんな 18 共産 11 維新 9 社民 3である。衆参のねじれ解消と自民「独裁」体制の形成によって、民意は議会に反映されにくくなり、このままでは、間接民主主義は機能不全に陥る可能性が大きい。どうするか。安倍政権の暴走を止めるには、直接民主主義的な手段による政治への参加、すなわち政治・社会運動をいっそう活発化させるほかない。原発再稼働反対・脱原発、消費税引き上げ・社会保障の改悪反対、TPP反対、普天間基地撤去、オスプレイ配備反対、労働法制の改悪反対、改憲阻止などの国民連合を地域を根城につくっていかねばならない。課題ごとの一点共闘自体をより広範な共同にしていくとともにそれらをつなぎ合わせるかたちで、政治を変える国民連合にむすびつけることが求められる。参院選で躍進した日本共産党の責任と役割は大きい。

自民党や公明党は今回の参院選を衆参の「ねじれ」を解消する選挙と位置づけ、マスメディアもその方向で世論誘導した。しかし、もともと衆院での3分の2を超す議席自体、大政党に有利な小選挙区制でゆがめられた「虚構の多数」の結果であったことを忘れてならない。参院選での大勝利の自公の議席も1人区で議席を獲得した影響が大きい。
今回の参院選は、住んでいる場所によって投票価値に最高4.77倍の格差があり、憲法違反であり最高裁判決に反する、として升永英俊弁護士らのグループが47選挙区全ての選挙区選挙の無効を求める裁判を14の高裁・同支部に起こした。升永弁護士らは、「国会での多数決が正当性を持つのは、各議員が同じ数の有権者を背負っているから。今回の選挙結果には正当性がない。正当性のない者が国家権力を担うことがあってはならない」と厳しく指摘している。各議員が同じ数の有権者を背負うことを徹底するには、全国一区の比例代表がもっとも簡単で分かり易い。私たちは、国民の意思が国会の議席に正当に反映する選挙制度をもつことが、民主制の第一歩であることにもっと注意を払うべきだ


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