プロメテウスの政治経済コラム

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道路特定財源 構造「改革」見直しのドサクサに紛れ、「一般財源化」に抵抗する道路族 

2008-12-08 20:13:02 | 政治経済
小泉・安倍は自民党道路族をどうしても「改革」できなかった。福田は、なんとか道路特定財源の一般財源化の閣議決定にまでは持ち込んだ。2009年度からの一般財源化の約束であった。しかし、頼りにならない麻生政権のもと、構造「改革」見直しのドサクサに紛れ、自民党道路族がまたしてもこの約束を骨抜きにした。世界的不況に直面し、構造「改革」で疲弊した国民生活建直しの財源のためにも道路特定財源の一般財源化は、緊急の課題であった。なんのビジョンもなく、国民の要求に背を向ける自民党の姿はいまや醜悪でさえある。自公政権には速やかに退場してもらうほかない。

福田前首相は、特定財源を一般財源化することによって「地球温暖化対策、緊急医療体制の整備、少子化対策などさまざまな政策に使える」と胸を張ったものである。ところが、2日都内で開かれた道路整備の促進を求める全国大会で、望月義夫衆院国土交通委員長(自民)は「一般財源化が閣議決定されたが、一般化された全部の予算を道路に使ってもいいんじゃないか」と公然と閣議決定を無視した。その翌日、自民党の道路特定財源の一般財源化に関するプロジェクトチーム(座長・谷垣禎一元国公相)が示した論点整理には当然のように社会保障や環境対策の項目はまったく見当たらない

麻生首相は、約3兆3千億円の国の道路特定財源のうち、少なくとも1兆円を「地方が自由に使える」予算として交付すると明言していた。ところが麻生首相が頼りないことをいいことに、自公道路族は早速、「交付」とは使途が限定されない「交付税」ではなく、道路整備などに特定する「交付金」のことだと言い出した。小泉「三位一体改革」で地方交付税を大幅にカットし地方を疲弊させたことを反省したのかと思っていたら何のことはない。道路族があっさりとひっくり返してしまった。

政府・与党は8日、1兆円規模の「地域活力基盤創造交付金」を新たに創設することなどを盛り込んだ改革方針を正式決定した。長ったらしい名前だが、ポイントは、使途を「道路を中心に関連する」公共事業などに絞ったことにある。なんのことはない、いまの道路特定財源から地方に道路予算として回している約7千億円の臨時交付金の名前を変え、規模を膨らませただけなのだ。「整備交付金」が、原則道路建設に充当されるのに対し、「創造交付金」は公共事業全般に使えるとごまかすが、交付金の配分を国交省に担当させ、道路関連に集中させるつもりなのだ。約3兆3千億円の残りの2兆3千億円も道路関連予算として確保する腹積もりである。国の財政事情は厳しく、社会保障費など、財源確保に四苦八苦しているときに、余剰とされる道路予算から財源を回すべきだが、何十年と利権を積み上げてきた道路族を「改革」することはいまの自公政権では無理な話のようだ。

道路関係に使途を限定してきた揮発油税などの暫定税率についてはどうか。道路特定財源の一般財源化で、課税根拠を失ったのだから、廃止するのが筋である。環境対策などの財源確保に使うというのなら、別途議論すべきだ。しかし、政府与党は、麻生首相が「3年後」としている税制抜本改革まで原則維持するようだ。3年後の消費税増税を睨んだものであることは、明らかだ。公明党・創価学会は、選挙向けに自動車重量税などの税負担の時限的な軽減措置を要求し、一部取り入れるという。公明党・創価学会は自分たちの実績だとさぞかし喧しいことであろう。
支持率急落のとおり、国民から完全に見放された麻生内閣。次の政権にありつくために公明党・創価学会も忙しい。

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