プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

政治変革と若者

2005-11-08 19:58:18 | 政治経済
いつの時代も時代が動くとき若者が重要な役割を果たしてきました。時代閉塞が言われ、政治を語ること自体に強いシニシズムがはびこる日本の現状を打破するのは、やはり若者なのでしょうか。石川康宏神戸女学院大教授が「若い世代と政治意識」の問題を先の総選挙における若者の投票行動の分析を通して論じています(「赤旗」2005.11.8)。
若者は、小泉「構造改革」に後押しされた企業の雇用政策によって、いま大変厳しい状況におかれています。24歳までの若年失業率は8.5%であり、完全失業者約300万人の半数が34歳以下の若者です。それにもかかわらず先の総選挙では35歳までの若者たちの投票行動が「自民党大勝」に大きな影響を与えたという分析もあります。首都圏4都県の比例区で自民党を支持した20~30代の63%は、自民党を「革新」的だと評価しているのです(「毎日新聞」9月13日)。石川教授は「そこには大勢に流されやすい若者と、現状からの脱出を願わずにおれない若者との入り混じった姿がある」と分析します。実際、自民党に投票した若者は「小泉首相はかっこいい」「改革力に期待」「郵政民営化に期待」という一方で「増税には反対」「九条は守って」「年金の充実を」とも言います。「自分もその一員でありたい社会の大勢が、実は自分を苦しめる現状をつくる力となっていることへの無理解があるのだろう」と石川教授は述べています。若者にとって雇用問題が大事なはずだが、政治問題、選挙の争点としての関心がうすかった点については、「雇用破壊の人為性に注意が及ばず、長く続く不況への無力感」に蓋われていたとされます。そして「30歳の若者でも『平成大不況』は人生の半分を覆っている。・・・不況が誰にもはねかせない『自然現象』ではないことを伝える必要がある」ということです。
石川教授は次のように言っています。「あるインタビューには『きちんと意見を話す若者のほとんどが野党の支持者だ』という記者の感想があった。個人の日常を社会全体のあり方に結びつける視野や知性を育てることが必要である。20代の新聞無購読率は4割に達しており、特に自民党支持者には今回の選挙でもテレビの影響が強く出ているようだ」
それだけに「心を通わせる語り合いや学習の取り組み」を若者にどう働きかけ、組織するかが、大変重要になります。若者は急速に成長し変わることができます。若者の回りの熟年代が生きづらい世の中の変革に立ち向かう姿勢をまず示すことが必要でしょう。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。