プロメテウスの政治経済コラム

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沖縄「慰霊の日」  嘉手納基地の騒音最多  許しがたい日本人を見下す態度

2009-06-26 21:23:06 | 政治経済
6月23日沖縄は、沖縄戦の組織的戦闘が終結してから64年の「慰霊の日」を迎えた。よりによってこの日、米軍嘉手納基地の騒音発生回数(人が不快に感じる70デシベルが5秒以上続くと1回)は267回に達し、「慰霊の日」としては1999年の測定開始以来最多となった。2008年は49回、07年は38回であったから、今の嘉手納基地は異常である。今年4月3日、石垣港へ米海軍掃海艦二隻が強行寄港・接岸した時の沖縄県民を見下し、愚弄したような態度をとったケビン・メア在沖米国総領事のことを思い出した。

犠牲者を追悼して非戦を誓った『慰霊の日』に騒音が267回になるとは、米軍は沖縄県民を舐めているとしかいいようがない。何故こんなことになるのか。本土でも、沖縄でも、「米軍再編」の掛け声のもとで、日本列島を戦争のための訓練場、いざというときの総動員体制に組み込む準備を進める米軍に対して至れり尽くせりのサービスをする(日本国内だけではなく、米国領グアム基地建設に6千億円という国民の税金をつぎ込むことまでやる)日本政府の屈辱的な対米従属の態度が米軍の横暴勝手を許しているのだ。
日本国民と米軍の間には、表にみえる安保条約と地位協定だけでも、米軍にさまざまな特権を与えている。米軍は、日本全土どこにでも基地をおくことができ、その基地(自衛隊との共用含め133)を自由勝手に使える。裁判権はじめ国内法の適用除外など治外法権的な特権もさまざまある。そのうえ、表には出ない日米合同委員会議事録と合意事項があり、さらに密約がある―国際問題研究者の新原昭治さんは、「日本の対米従属は、二重底どころか三重底、四重底になっている」と指摘する

いま米軍嘉手納基地には、日本向けに輸出許可するかしないかで問題になっている最新鋭戦闘機F22ラプター(raptorとは猛禽類のこと)などが、他の基地から多数飛来し、訓練を行っている。ことしの騒音発生は異常で、「慰霊の日」前日には324回と、測定開始以来3番目に多かったという。嘉手納町の「基地被害・苦情110番」には住民から「我慢できない」「ガス臭が続いて気分が悪い」「休みなのにうるさくてイライラする」などの苦情が相次いでいる。
64年前、天皇制日本政府は、沖縄を本土決戦の時間稼ぎのための「捨て石」として県民に多大な犠牲を強いた。日米両軍の激戦が住民を巻き込み、20万人余に上る犠牲者数をだし、日本兵の住民虐殺、日本軍が関与した住民の集団自決(強制集団死)まで引き起こした
「沖縄全戦没者追悼式」では南城市立大里小学校の比屋根憲太君(11)が姉を亡くした祖母の体験を元にして作ったという「平和のいのり」という詩を朗読した。「『ごめんね。ごめんね』/と何度も何度も/きたときよりも/石を強くさすり/石を強くだきしめる/ぼくはもう声を上げて泣いていた/そして祖母の背中をずっとさすった」
「捨て石」とされた沖縄は戦後、米軍の「要石」として直接軍事占領され、ここでも日本政府は沖縄を見捨てた

石垣島は、戦時中は、日本軍の命令により戦争マラリア(マラリアの発生する地域に疎開が行われたために、多くの人がマラリアに罹患し、多くの死者を出した)で凄惨な被害を受けたが、戦後は、米軍基地のない平和の島として歩んできた。その島の民間港・石垣港に、市長を先頭とする市民の強い反対にもかかわらず、4月3日、米掃海艦二隻が強制入港した。現行地位協定でも政府は、「地方自治体の意向は尊重する」と認めており、「平和港湾宣言」をしている石垣市の反対の声を無視しての入港は、日本政府、日本人が舐められているということだ。許されないのは、沖縄県民を見下し、愚弄したような態度をとったケビン・メア在沖米国総領事である。
八重山地区労の大濱明彦議長は「車はわざわざ違うゲートから外に出して待たせておきながら、ケビン・メア沖縄総領事は日本の警察を使い、座り込みをしている石垣市議の頭の上をまたぎ、押しのけて強硬的に街に入っていった」と、抗議行動にたいする県民を見下し、愚弄したような態度を告発した。また、今回の入港の際、「いしがき女性9条の会」が設置した、入港に抗議する横断幕が盗まれた。横断幕は掃海艦が出港した5日午後に米海軍捜査機関が八重山署に返してきた。9条の会の大島忠枝事務局長は、「両端がギザギザに破れていました。私の心がずたずたに踏みにじられた思いです。悔しくて涙が出そうになりました。艦長の手元にあったのに、ケビン・メア在沖米国総領事は『自分は知らないが、ごみを片付けたのだろう』などとうそをついた。県民への侮辱であり、謝罪してほしい」と訴えた(「しんぶん赤旗」2009年4月10日)。

沖縄県民が、日本人がここまでバカにされてもヘラヘラ米国いいなりになっているのが、日本政府である。「対等な日米関係」は、数々の密約を含む日米軍事同盟をなくしてこそ築けるのではないか―沖縄県民の、普通の日本人の思いに違いない。

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1 コメント

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米軍だけでは無い (isao-pw 大城 勲)
2009-06-27 00:35:46
慰霊の日には自衛隊幹部も大挙して制服姿で摩文仁ガ丘の黎明の塔に参拝して沖縄県民の心を踏みにじっている。
沖縄県知事が自民党になって以来、那覇空港での自衛隊は我が物顔で激しい訓練を行い民間機の飛行にも支障を来している。
以前は緊急時以外は飛ばなかった市街地上空でも傍若無人に飛び回って激しい騒音を撒き散らしている。
こういう状況が米軍側にも沖縄県民蔑視の要因となって現出しているのです。
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