プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

「九条の会」 憲法セミナー 4つの選択肢を考える

2006-11-27 19:32:59 | 政治経済
一つは、憲法をそのままにして独立する[護憲―独立]。二番目は、憲法はそのままだが従属する、独立の程度が低い[護憲―従属]。三番は、改憲して、独立を強める[改憲―独立]。四番は改憲をすると同時に、従属的な態度をとる[改憲―従属]――この4つの選択肢である。

加藤周一さんは、一番が理想的であると言う。憲法を守りながら、独立の外交政策の自由度が大きくなる。それを使って周辺国との緊張関係をなくしていくことができる。平和が強まれば軍備の必要も減っていく。
「自衛のための必要最小限度の実力組織」である自衛隊は「どこかに攻められるようなことのないための備え=自主独立の平和外交活動」を通じて少しずつ無駄なものを減らしていく方向である。
二番目は現状のまま。平和主義だが外交での自由度は非常に限られる。外国いいなりを長く続けると自主独立の要求が当然にでてくる。
嫌ならアメリカから離れて独自で軍備を増強するか。それが三番目である。非米であるが、アジアとの緊張を高め、すべての国との関係が悪化する。どんどん軍備を増強すると、ある段階で核兵器も、ということになる。
四番目はどうか。これがいま安倍政権が進めている改憲の方向である。そこで軍備を増強すれば、米軍に従属したものとなる。日本人が日本の防衛のためではなくアメリカの戦争で、外国のために戦死することになる。そんなことは受け入れられない。

「どう見たって、自衛隊は常識的には違憲だ。これを憲法に書き込むべきだ」―改憲論者の「常識論」である。しかし、「違憲だから憲法を変えろ」というのはやはりどこかおかしい。本来、もし「違憲だ」というなら、「違憲状態をなくす」のが正しいあり方であり、理性的な考え方のはずではないか。自衛隊はアメリカに付き従って「戦力」を増強するのではなく、名実ともに国民の生命財産を急迫不正の侵害から守れる最小限度の範囲まで縮小すればよいのである。内閣法制局が苦労してつくった「自衛隊合憲」論をいま生かせばよい。そして、そのためには「備えあれば憂いなし」の「備え」=「世界、とくにアジア諸国との親善友好」の外交を積極的に展開しなければならない(丸山重威『新聞は憲法を捨てていいのか』新日本出版社)。

問題を外交で片づけ、武力に頼らないで解決しようとすると、日本が米軍基地で覆われており、自衛隊がその米軍と一体になって行動していたのでは、不可能なことは明らかである。今世界でどこよりも先に戦争を仕掛ける可能性が高いのがアメリカだからである。
かくして一番現実的で未来のために必要なのは一番の選択肢ということになる。武器による安全保障でなく、外交的手段で安全を保障することは、アジアでも世界でも(米国とごく少数の有志連合国を除いて)いまや世界の大勢になりつつある。
どの選択肢が一番現実的で日本人にとっていいことであるか、考えを深めてみよう。

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