プロメテウスの政治経済コラム

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韓国哨戒艦沈没事件  進まぬ原因究明  何か裏がありそうだ

2010-05-13 19:03:20 | 政治経済
韓国軍の哨戒艦「天安」が3月26日に黄海で沈没した事件が、朝鮮半島情勢を緊迫させている。米韓両政府は、天安艦の沈没直後に「北朝鮮の攻撃を受けて沈没した可能性は低い」と発表していた。ところが最近になって「北朝鮮の関与」説が強まっている。
「天安」は哨戒艦であり、レーダーやソナー(超音波探信儀)を使って、敵軍の潜水艦や魚雷、航空機、ミサイルなどを感知し、攻撃するのが任務だ。北朝鮮の潜水艦や魚雷が接近してきたら、早期に感知し、迎撃や回避の策をとれたはずだ。しかも当日は、米韓合同軍事演習が行われており、「天安」艦内のソナー担当者が注意を怠ったとは考えにくい(田中宇の国際ニュース解説「韓国軍艦『天安』沈没の深層」2010年5月7日)。
本当に北朝鮮からの攻撃があったのなら、米韓はなぜ直ちに北の攻撃を批判することをせず、奥歯にモノが挟まったような言い方をしたのだろうか。また、北朝鮮政府から何らかの「戦果」の発表があってもよさそうなのに、なぜか何の発表もない。むしろ関与を否定している。
何か裏があると考えるのが自然だろう。

 3月26日、韓国と北朝鮮の海上の境界線(北方限界線、NLL)のすぐ南にあるペンニョン島の近くで、韓国の大型哨戒艦(コルベット)の「天安」が爆発・沈没した事件は、発生から1カ月以上がすぎても、沈没原因が確定していない。乗員104人中、46人が死亡。犠牲者の多くは10~20代の青年で、韓国社会に大きな衝撃を与えた。韓国政府は4月に入り「魚雷か機雷が船の外で爆発したと考えられる」と発表し、艦内からの爆破や破壊(故障など)ではなく、外部からの魚雷や機雷(あらかじめ敷設されている)によって破壊された可能性が高いとしていた。
金泰栄(キムテヨン)国防相は5月10日、「天安」の爆発・沈没について、船体などから採取された火薬の成分が、魚雷などに使用される高性能爆薬RDX(ヘキソーゲン)であることを明らかにするとともに、この爆薬が、「旧ソ連を含む多くの社会主義国でも使用された」と指摘し、北朝鮮の関与を強く示唆した(「読売」5月10日20時23分配信)。
韓国政府は今月中にも調査結果をまとめ、結果次第では、対北朝鮮の国連安保理制裁決議を求める方針だという。これまで事件への慎重な姿勢を保っていた米国だが、国務省高官は5月7日、北朝鮮の関与が明らかになれば「挑発的な行為だ」と明言。日米韓は今後、安保理決議への取り組みを中心に連携を進めるとみられる(「毎日」5月8日11時55分配信)。
 
 韓国の政界では、与党・ハンナラ党の鄭夢準(チョン・モンジュン)代表が4月16日に、「北朝鮮の攻撃が確認できれば、重大決定をする」と述べるなど、強硬論が台頭。金盛賛(キム・ソンチャン)海軍参謀総長は、同月29日に行われた犠牲者の告別式で「苦痛を与えた勢力を最後まで追及し、必ずやこれ以上に大きな代価を払わせる」と軍事報復を示唆した。保守色の強い三大紙も、社説で「自らの生存と国家の自尊を守るために、決然と成敗に踏み出すべきだ」(同月8日、東亜日報)と主張。軍事報復をあおる報道が目立つ。これに対し、野党陣営は、「証拠もない中で、政府が先走るのは危険だ」などと指摘。地方選挙が1カ月後に迫る中、与党陣営が、事件を利用しているのではないか、という懸念も取沙汰されているという(「しんぶん赤旗」2010年5月4日)。

 哨戒艦が、北朝鮮の潜水艦から攻撃されて、生存者も多数いるのに、原因が分からないというような惚けた話があるだろうか。なぜ、米韓両政府は、天安艦の沈没直後に「北朝鮮の攻撃を受けて沈没した可能性は低い」と発表したのだろうか。なぜ、米国政府はこれまで事件への慎重な姿勢を保っていたのだろうか。
軍事上の事故・事件には謀略が付き物である。

田中宇さんは、事件当日、米韓合同軍事演習が行われていたこと及び「天安」の沈没とは別に「もう一つの沈没」が起きていたことに注目する。天安艦の沈没現場の近くの海域に、米軍の潜水艦とおぼしき巨大な物体が沈没しており、韓国軍の潜水隊などが捜索にあたり、米軍のヘリコプターが米兵の遺体とみられる物体を運び去る映像を、韓国のKBSテレビが4月7日に報じたが、その後一切隠されたという。そして、天安艦の沈没後、潜水捜索の過程で、韓国海軍の特殊潜水隊(UDT)のハン・ジュホ准尉が潜水中に気を失った後に死亡するという、二次災害が起きたが、ハン・ジュホ准尉が潜水捜索したのは、「天安」ではなく、米軍のものとおぼしき潜水艦の可能性が高いという。米軍のものとおぼしき潜水艦は、北朝鮮を監視・臨戦態勢をとる原子力潜水艦であり、韓国軍に情報開示されておらず、連携ミスから、「天安」と同士打ちの誤爆があったのではないかという(田中宇 同上)。

 事の真偽は定かではない。しかし、単純に北朝鮮からの魚雷攻撃でもなさそうだ。原因究明が進まないところを見ると、裏に何か隠されていることは間違いなさそうだ。

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