プロメテウスの政治経済コラム

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日本、早ければ来月2日にホワイト国から韓国を除外ー避けて通れない道、韓国は腹を固めるべき

2019-07-28 14:32:34 | 政治経済

 日本政府は、来月2日にも輸出管理上の優遇措置が得られる「ホワイト国」から韓国を除外することを閣議決定することで調整に入った。ホワイト国に対して日本のメーカーが物品を輸出する際には、包括的な許可を日本政府から受けることができる。3年間、個別の許可を受けなくても良い。一方、韓国がホワイト国から除外されれば、日本の輸出企業は韓国に品物を輸出する時、軍事転用の恐れがある場合には個別許可を受けなければならない。4日から施行された半導体材料などの輸出規制は3品目に限定されていたが、ホワイト国から排除されれば、木材や食品などを除く大半の物品が許可対象になる可能性もある。軍事転用の憂慮という曖昧な基準なので、その範囲はいかようにもなる。

 こうした状況下で韓国政府は過去の歴史をめぐる対立と経済・文化などを分離し、“ツートラック”で対応するという原則を強調しているが、日本の輸出規制による日韓両国の対立が長期化することは避けて通れない道である。安倍首相に代表される日本の支配階級は、文在寅大統領の登場自体を「反日・親北左派」として、特別に警戒してきた。12・28「慰安婦」合意破棄、韓国最高裁(大法院)の徴用工賠償判決、そして海上自衛隊哨戒機レーダー照準論争、福島原子力発電所事故に関連した日本産水産物の輸入禁止についての世界貿易機関(WTO)の審議敗訴などを経て、韓国を無礼・極悪非道な国に煽り立て、マスコミも一体になって韓国たたきの強度を高めてきた。今回の制裁はその延長線上にあるだけだはなく、これから起こるであろう数年に亘る北東アジア情勢の構造的転換と密接に関わっている。

 朝鮮半島が急速な冷戦体制瓦解に向かおうとする情勢変化は、安倍政権にとっては到底受け入れがたい。しかし、トランプ大統領のプードルである限り、表だって愚痴も言えない。安倍首相は、G20開催の成果を国内政治の好材料として活用する積りだったが、力を入れて主催したG20は、閉幕の翌日に南-北-米首脳の電撃的な板門店会合にスポットライトを奪われ、全世界の耳目は朝鮮半島に集まった。安倍首相の苛立ちと疎外感は、いかばかりだったろう。安倍首相に代表される日本の支配階級の夢は、平和憲法を変え、日本を“戦争する国”にすることだ。明治維新以後、常勝疾走しアジアに君臨した過去の栄光を再現することが安倍首相の夢だ。その目標を成し遂げるには、平和憲法改定に反対する国内世論を制圧しなければならない。世論の流れを変えるには、北東アジアの緊張と葛藤の持続が欠かせない。

 安倍政権が取り出した制裁カードは、そうした計算までして、長期的に準備してきた本格的な韓国たたきの序幕かもしれない。南北朝鮮の接近と再統合を、日本にとってマイナスないしは危機要素として受けとめる日本の右派支配勢力は、南北が手を握り中国・ロシアとつながり、日本の疎外が固定化することを最も恐れている。しかし、昨年の平昌冬季五輪以降、以前と異なる次元で展開し始めた朝鮮半島情勢は、6月末の板門店での前例ない南・北・米首脳会合が象徴するように、日本の支配層が最も危惧する方向にますます進んでいる。安倍自民党政権は、今後南北和解が進展し経済協力が本格化する場合、南北経済交流が北朝鮮の武器開発につながるという安保の論理を前面に出し、南北協力を妨害してくるだろう。今なお、アメリカ帝国の頸木のもとにあり、日本と同様に、南北の対決と朝鮮半島の緊張を存立の根拠としてきた韓国の保守勢力に悩まされる文在寅政権の前途は多難である。しかし、南北の恒久的平和・共同繁栄・自主的統一への道は、歴史的大道である。反動勢力の妨害は避けて通れない。文在寅政権を先頭に韓国の進歩勢力は、今こそ、腹を固めるべき時だ。



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