プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

菅・民主党の危険な正体   その反動的巻き返しに鉄槌を!

2010-07-07 21:51:07 | 政治経済
菅政権は、構造改革の矛盾が爆発するなかで、安倍政権以降、福田、麻生、そして鳩山政権と4代続いて停滞していた構造改革と日米同盟深化の路線を民主党が政権をとったこの機会に、民主党を本来の保守政党に引き戻すことで一気に立て直すという支配層の期待を担って登場した(渡辺治「菅政権の登場と参議院選挙の意義」『前衛』2010・8 No.860)。
菅氏は保守支配層の期待をいち早く察知して、権力を握り、政治の転換つまり鳩山政権の逸脱した部分(07年、09年マニフェストの日米同盟見直し、反構造改革、福祉部分)を保守の枠に戻すという役割を担うことで、財界、アメリカの支持を得ようと図ったのだ
この鳩山政権の「動」に対する「反動」政権として登場した菅・民主党に対し、来る参議院選挙で鉄槌を下すことによって、私たちの側からの再度の巻き返しの第一歩としなければならない。

 菅首相は、鳩山政権の保守逸脱から、政権を保守政党の枠組みのなかに再び引き戻すことを自覚的に、自らの役割として引き受けた(渡辺治 同上)
菅氏は、総理大臣になった途端に「反小沢」の人事体制をとった。小沢派を切ったのは「政治とカネ」の負のイメージを払拭し、党内の財政出動を主張する勢力、消費税増税に反対する勢力を排除し、構造改革回帰を狙ったものであった
アメリカ政府に対しては、「海兵隊は(日本を)守る部隊ではなく地球の裏側まで殴りこみに行く部隊だ」「沖縄の海兵隊はアメリカ本土に帰ってもらおう」といっていた菅氏自身の言説を翻して「日米合意」について「実現に向け真剣に取り組んでいきたい」と確約そればかりか「日米同盟は過去50年間、アジア太平洋の平和の礎として不可欠な役割を果たしてきた」と、日米同盟を全面賛美した
財界に対しても、政権発足から菅首相をはじめ閣僚、枝野幸男幹事長ら党幹部が日本経団連と相次いで会談し、財界の方針に忠実に従って「消費税増税と法人税減税」をセットで打ち出し、構造改革路線の再建を誓った
菅氏は、もはや市民運動出身のリベラル派でもなければ、副総理時代に、湯浅誠氏を内閣参与に引っ張った福祉派でもない。

 菅政権の役割の第一は、日米同盟強化の課題である。
明らかに菅政権は、鳩山政権下での普天間問題をめぐる混迷をアメリカに対する「借り」だととらえている。この「借り」は返さなければいけない。借りを返すことで、アメリカに対する信頼回復に励もうとしているのだ。菅政権は、おそらくソマリアやアフガンへの自衛隊派兵、さらには小泉政権以来の課題である自衛隊の恒久派兵法や鳩山政権のもとで頓挫してしまった防衛計画の大綱の策定を一気にすすめ可能性がある。

 菅政権の第二の課題は、構造改革路線の再建である
そのためには、この間の支配階級の宿願であった消費税増税をなんとしても成し遂げることである。さらにそれに加えて社会保障経費の支出抑制の新たな仕組みづくりを推進することである。後期高齢者医療制度の新たな仕組みでの再度の導入、保育制度の「改革」、地域主権の名による福祉の地位単位での自己責任制などが目指されている。もし本気で福祉財源を実現しようとすれば、負担能力のある大企業・大資産家に応分の負担を求めるほかない。ところが、菅政権は、それとまったくの逆の大企業の負担軽減の方向を打ち出した。この点だけでも、税収は大幅減となり、10%消費税増税だけでは収まらず、さらなる消費税増税(民主党内では15%がすでに検討されているという)、福祉支出の削減に向かうほかない。
 
 菅政権の第三の役割は、いっそう危険な道である
日米同盟強化は、沖縄県民をはじめ、平和を願う多くの国民の願いと真っ向から対立する。構造改革路線の再建は、鳩山政権に期待をかけた非正規労働者や高齢者を先頭とした多くの国民の反構造改革政治への願いを真っ向から踏みにじる。このままでは、保守二大政党による長期安定政権を期待する支配階級の思惑にガタがきかねない。
菅首相は選挙最終盤に入り、「民主党とともに安定した責任ある政治をつくるのか」と国民に迫り始めた。「安定・責任」の名で狙うのは、米国と財界への忠誠と追随の政治の安定であり、自公政権でもやらなかった民主主義破壊である
樽床伸二・民主党国会対策委員長は、衆院比例を80削減する法案はすでに「私の手の中にある。参院選で勝たせていただいたら、即座に国会に出す段取りを進めている。」と公言する。昨年の総選挙結果で試算すると、民主党が42%の得票で衆議院の68%の議席を得て、単独で3分の2以上の議席を占めることになる。衆院で3分の2の議席を占めれば、法案が参院で否決されても衆院で再議決すれば成立させることが可能だ。まさにこれは民主党の一党独裁政治であり、財界が望む長期安定保守政治の確立である。

 議員を減らして財源を削減したつもりで実際に削られるのは、民意である。仮に国会議員を80人減らしても、国会議員の歳費、立法事務費、秘書給与など56億円の削減にしかならない。政党助成金320億円は、国会議員450人削減に匹敵する金額である。

菅・民主党は、自公よりも悪い。参院選では菅・民主党に鉄槌を

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1 コメント

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騙されない見識を持ってください! (大和)
2010-07-07 23:31:04
マスコミに騙されてはいけない!
愚民化政策を行い、子供たちを不登校や引きこもり、ワーキングプア、ネットカフェ難民にした「自民党・官僚政治」を生き返らせてはなりません。国民を不幸にし、国を腐敗させた政治を、今回の選挙で完全に絶滅すべきです。
「『おバカ教育』の構造」(阿吽正望 日新報道)を読みましたか。子供を壊される恐怖と、腹の底から込み上げる怒りを感じませんでしたか。これ以上、だまされ子供を不孝にするのは止めましょう。
この参院選は、官僚に支配され特別会計も教育も問題にしないマスコミに騙されず、「自民党・官僚政治」を滅ぼす日本国民の戦いです。
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