プロメテウスの政治経済コラム

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評判悪い安倍首相の改憲プラン 自民党内で議論混迷

2018-02-01 17:41:42 | 政治経済

通常国会での「改憲発議」を目標に掲げた安倍・自民党は、昨年中の改憲案とりまとめを目標にしてきたが、9条改憲、緊急事態条項創設などの項目で両論併記の「論点とりまとめ」(昨年末)にとどまった。

自民党憲法改正推進本部の31日の今年初の全体会合では、外国からの武力攻撃や大規模災害時の緊急事態条項について、国会議員任期の延長などに加え内閣への権力の集中や私権(人権)制限も検討すべきだとの意見が相次いだ。推進本部幹部の間では、任期延長に限るべきだとの見解が大勢だが、これでは何のための憲法改正かとなる。もともと改憲項目として、緊急事態条項、参院選挙の合区解消、教育の無償化の3項を列挙していたわけだが、これら3項はすべて本質的に憲法事項ではなく、法律改正によって対応可能な政策レベルの話である。

自衛隊明記の9条改憲案をめぐっても、自民党改憲案では戦力不保持を定めた9条2項の削除と国防軍創設を明記しているのに対し、「9条1、2項を残したまま自衛隊を明記する」という「独自案」を安倍首相が突然、提起(昨年5月3日)。これに対し、党内からも、9条2項を残したまま自衛隊を明記するとはどういうこと、「交戦権」を持たないままで「自衛隊を交戦させるのか」と疑問が出ている。それは、当然のことで、安倍首相は初めからくせ玉で目くらましをして、国民を騙すつもりであった。2項があるのだから、「2項の制限がかかる」と述べ、抑制的な提案であるというわけだ。こんなまやかしの論法が通用するはずがない。「後法優先の原則」を持ち出すまでもなく、9条をいらう目的は、9条2項を空文化して、交戦権のある軍隊を憲法上に位置づけるただそのためだけである。何故なら、共同訓練で自衛隊の殺傷能力をいくら高めても交戦権に縛りのある軍隊は米軍にとって使い物にならないからだ。

日本テレビの1月調査では、安倍の強い改憲意欲を評価するかとの問いに、評価する=29.0%、評価しない=51.2%だし、9条1項・2項を残して自衛隊の存在を明記する条文を追加するという安倍案については、賛成=34.8%に対して反対=43.7%、分からない=21.5%であった。

改憲の意欲を持つのは、安倍首相と彼を背後で動かす日米支配層だけである。それにもかかわらず、安倍首相は、「改憲議論は義務」だという。どこか狂っている。



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