プロメテウスの政治経済コラム

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非正規解雇 違法横行 なぜ連合大手組合は見て見ぬ振りをするのか?!

2008-11-30 20:50:35 | 政治経済
大企業による派遣労働者や期間労働者らの大量解雇、「雇い止め」の動きが広がっている。自動車、電機を中心に工場などで働く派遣労働者や有期雇用の期間工との契約打ち切りが一斉に進んでいる。その数は、厚労省の不十分な調査でも3万人に達する。非正規労働者の労働組合への組織化はまだまだこれからの課題である。派遣先大企業の労働組合がどれだけ非正規労働者の運命に心を寄せともに闘うかは日本社会の将来にも深くかかわる。残念ながら、連合大手組合はすべて、非正規解雇にまったく声無し、見て見ぬ振りである。下請け労働者や途上国の労働者の犠牲の上にそれなりの福祉国家をつくってきた先進諸国の過去の構図が身近な国内の“途上国労働者”にもそのまま見て見ぬ振りをさせている。

日本共産党の志位和夫委員長は12日、大企業による派遣労働者や期間労働者らの大量解雇、「雇い止め」の動きが広がっている問題で、国会内で河村建夫官房長官と会談し、麻生内閣に対して雇用と暮らしを守る緊急対策をとるよう申し入れた。申し入れの内容は、(1)派遣社員、期間社員をはじめとする大量解雇、「雇い止め」を中止し、雇用を維持するための最大限の努力をするよう、経済団体、主要企業に対する指導と監督を強化すること。(2)雇用保険の6兆円もの積立金を活用し、失業した労働者の生活と再就職への支援を抜本的に拡充すること。とくに、失業給付を非正規で働いてきた労働者にもきちんと給付できるように改善するとともに、雇用保険から排除され未加入だった労働者を含めて、生活と再就職、職業訓練、住宅などへの支援を抜本的に強化すること―である(「しんぶん赤旗」2008年11月13日)。

非正規労働者の解雇問題は、政治、法的な問題とともに労働者側の闘い、団結と深くかかわる。
現在、非正規労働者の労働組合は、従来の日本の企業別組合の枠を超えて、本来の企業横断的組合として結成されつつある。しかし、その運動はまだ萌芽的であり、非正規労働者の組織化は今後の課題である。こういうときに、従来の正規労働者の労働組合は、どうあるべきか。非正規労働者に連帯して首切りに反対するのが労働組合の役割だろうと大所高所から説教しても始まらない
日本の企業別大企業労働組合には、階級闘争の伝統がないとはしばしば言われることだ。長期雇用と年功処遇で、国家の貧弱な社会保障の補完をしてくれる“わが社”は闘う相手ではない。ともに業績の向上に努め、会社のパイを大きくし、同僚と競争してより大きなパイの配分に与ることが日本の企業別大企業労働組合の伝統である。

その意味では、「しんぶん赤旗」菅原啓記者のアルゼンチンからの報告は新鮮である。
米GM(ゼネラル・モーターズ)が業績悪化から、南米アルゼンチンの工場でも労働者の首切りを計画していが、同国政府の積極的な介入と労働者のたたかいで解雇撤回に追い込まれているというのだ(「しんぶん赤旗」2008年11月30日)。
とりわけ正社員労働組合の闘いぶりは感動的である。11月半ばの交渉でGM側は、正社員については来年末まで雇用を保証するとして、当初の計画を撤回する考えを表明。同時に、約160人の期間工については一時帰休とするが、2月まで賃金の十割支給を保証するとの条件を提示した。これに対し自動車機械労組(SMATA)は27日、全労働者2300人が給与の最大二割カットを受け入れる用意があるとの立場まで示し、期間工を含め全員の雇用確保を迫ったというのだ。SMATAのマルセロ・バリオ書記長は、「会社はすべての労働者を尊重する姿勢がないが、SMATAは違う」と述べ、正社員・期間工の別なく全員の雇用を守る立場でたたかう姿勢を強調。会社側が態度を変えない場合は、ストライキなども辞さないと語っているという。

日本の労働組合は、階級的団結力がないといわれる。それには、それなりの理由がある。企業別組合のもと企業主義社会に統合され、会社と闘うよりも会社のパイをともに大きくすることが自分の利益に直結していたからである。会社と対抗し、労働者の権利を主張する共産党員は、自分たちの味方というより、時には敵ですらあるのだ。
大企業労働者は下請け労働者の運命に対してはつめたかった。会社のパイを大きくするためには、下請け労働者、途上国の労働者の働きは、自分たちの安定のもとであったいま新自由主義構造改革による労働法制の規制緩和で国内に強制的に大量の“途上国労働者”が創生された。かつて途上国労働者は身近にはいなかったが、いま非正規労働者はすぐそばにいる。ここは、見て見ぬ振りをするほかないのだ。

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