Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

A-lineとNIBPの値が違ったら:パート2

2023年06月06日 | 循環
血圧の話をするのは久しぶり。考える機会があったのでね。

まずこちらをお読みください。
A-lineとNIBPの値が違ったら?
過去ログもまとめて読んでもらえると嬉しい。
でもこれらは全て測定原理や精度の観点で、今回はもっとプラクティカルな話をします。
二つの値が異なる理由はいろいろあります。

A-lineが不正確になる理由
1:A-lineがナマっている
2:上流に血腫があったりして低くなっている
3:血圧に左右差がある
4:トランスデューサーの高さが間違っている
5:トランスデューサーが壊れている
6:大量の昇圧剤を使っている
NIBPが不正確な理由
7:血圧が高すぎる、低すぎる
8:不整脈がある
9:体動
10:マンシェットのサイズが合っていない
11:巻き方が悪い、服の上から測定している
などなど。

「病棟でNIBPを測定したときはそれほど低くなかったが、ICUに来てからA-lineを挿入したら低かったのでノルアドを開始した。」
これは正しい。ショック患者を放置しちゃダメ。でも、
「大量の昇圧剤が必要になった。ナースが改めてNIBPで測定したところ、やはりA-lineよりも高かった。」
この場合は少し注意が必要。
上記の可能性を全て検討しないと、単純にA-lineの方が正しいとは言い切れないから。

ありがちなのが大量の昇圧剤使用により橈骨動脈での圧が低くなる現象。鑑別のためには鼠径にA-lineを挿入する必要があり、ちょっと面倒。ただし、橈骨動脈と同じ太さの血管では同じことが起こっている可能性があるので、臓器灌流圧的に何が正しいかは不明。

いつもこんなに近くにいるのに、君のことが分からない。
昔書いたけど、ほんと、そうなんだよね。
コメント
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