Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

集中治療の現場で命を救う機械

2022年09月17日 | ICU・システム
Jaber S, Citerio G, Combes A.
Machines that save lives in intensive care: why a special issue in ICM?
Intensive Care Med. 2022 Oct;48(10):1271-1273. PMID: 36066599.


今月のICMは医療機器の特集。
たくさんあるねー、機械。これでもまだ一部だもんね。
楽しそうなのを読んだらいいんじゃないかな。

ただし、ちょっと注意は必要。
試しに血漿交換の総説を読んでみたのだけど、絶対適応のリストの中にacute liver failureが入っていてビックリ。他の疾患には説明がないのに、これだけは小さい字で記載があって、"Not widely used yet and limited to a few specialized centers but strong evidence base in acute liver failure (especially hyperacute) in improving transplant free survival in patients who meet transplant criteria but are either ineligible for transplant or do not have access to timely transplant. TPE may also be used as a bridge to transplant in acute liver failure with multiple organ failure [75]"と書いてあって更にビックリ。
(DeepLによる和訳:まだ広く使われておらず、一部の専門施設に限られているが、急性肝不全(特に超急性期)において、移植基準を満たすが移植不適格であるか、適時に移植を受けられない患者の無移植生存率を改善するという強いエビデンスがある。TPEはまた、多臓器不全を伴う急性肝不全における移植への橋渡しとして使用されるかもしれない。)

参照文献75はこれ。6年前に発表されたRCTで、肝不全としてはNが大きめだけど、storng evidenceと言える代物じゃない。よく見ると、この研究のlast authorが総説の執筆者に含まれている。
ああ、そういうことか。
実際、Lancetの急性肝不全の総説には、同じRCTを引用して、”but further study is required"と書いてある。

総説は、自分が知らないことを手っ取り早く教えてくれるので便利。
でも、「〇〇が正しい」、「〇〇をするべきだ」と記載されていたら疑ってかかった方がいいし、それを自分の臨床に応用しようと思ったら必ず元文献を読むこと。

それさえ気をつければ、総説は便利。
コメント
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