上2人の子どもの離乳ではせっかく離乳食を作っても食べないことが多かった。テレビでも本でも雑誌でももっともらしく赤ちゃんが喜んで食べる離乳食作りについて解説しているが現実は赤ちゃんが食べなかったりして苦労している家庭が多いのではないだろうか。もしかして、うまいやり方があるのではないか?一番下の子どもの離乳を考える時期になって海外の事情はどうだろうと調べたことがBaby-led weaning を知るきっかけだった。
初めてBaby-led weaning を知った時、面倒だなと思った。面倒なのはその方法自体ではなく、日本では実践している人がいないため当然日本に紹介されておらず、日本語の情報が皆無で英語の情報しかないことだった。でも、調べていくうちにこの方法は実に合理的な離乳法だということに気づいた。いい方法だったら皆に紹介しないといけない。そして、うちの子どもで実践すれば本邦初症例になるのでやってみるのも面白いと思った。自分は基礎医学研究者として大成はしなかったが、あと10年たってこの方法が日本で主流になった時、日本で初めてこの方法で子供を離乳した医者ということで有名になるかもしれないし、、、、(笑)
冗談はさておき、、、
その合理性というのはBaby-led weaning の根本をなす以下の考え方だ。その考え方とは、、、、
咀嚼力、嚥下力、消化力、などの食べる能力は物を手で持つ、手で持った物を口に入れるなどの運動能力、そして食べ物を食べ物であると判断し、自分が必要とする栄養を自分で判断して摂取する知的能力と平行しているはずだ、という考え方である。神経・運動系の発達を考えればもっともな考え方である。また、太古の昔、はじめての人間がホモ・サピエンスとして誕生したとき、裏ごしをして離乳食を作ったなどとはとうてい考えられず、その後、人間が種として生き延びてきたことを考えればきわめて自然で妥当な考え方だと思った。
赤ちゃんが自分の手で持つことが出来なければその食物を食べる能力がそこまで至らず、食べさせるべきではないと考え、無理はしない。例えば、窒息しやすい細かいものはつまむ力が無ければ本来は食べられず、食べられなければ無理に食べさせようとしない限り、窒息しない。だから赤ちゃんにまかせて離乳を行えばいい。そう、月齢に応じた決まったやり方がBaby-led weaning にないのは新しい方法だからではなく、赤ちゃんの発達に応じて行う(というよりも赤ちゃんが勝手に行う)方法だからである。(前回の繰り返しになってしまうが、この根本を理解することがBaby-led weaning を行ううえで重要だ。でないと窒息で赤ちゃんを殺すことになるかもしれない。)でも、決まった方法がないため逆にBaby-led weaning とことさら構える必要がないのかもしれない。そういえばBaby-led weaningの提唱者、Gill Rapleyも書いていた。
“The baby-led approach to the introduction of solid foods is based on common sense. It is neither new, nor ‘mine’. Many mothers of more than one child have discovered it”
ーBLWは常識に基づいている。新しい方法でも私自身の方法でもない。多くの一人以上子供がいる母親なら見つけている方法だ。ー
あ、そういえば実家の兄弟姉妹でも末に近いほど放置されていたな。日本で初めてこの方法で子供を離乳した医者というわけではなさそうだ。残念(笑)。
写真は子供たちが作ってくれたチョコレートです。