見開かれたその眼は…何を見ているのだろう…?
閉じ込められた磯見の意識は何処に居るのだろう…?
滝川は磯見の中に磯見以外の意識を探した。
意識を失くした端は…ほんの束の間…僅かに磯見らしからぬ気配を感じたが…それもすぐに消えた。
「どうやら…相手の意識が磯見の中に入り込むというわけではないようだ…。
命令する一瞬の時間があれば…それで事足りるみたいだね…。 」
滝川が自分の診立てを述べた。
動いているのは磯見自身ってことか…。
こういう状態にあるということは…磯見の力がどこかでその威力を発揮してるということに他ならない…。
西沢も金井も…添田も…それぞれの組織に警戒を強めるよう指示を出した。
何処の…誰を狙っているのか…?
何をしようとしているのか…?
突然…お伽さまが床に腰を据えて一礼すると何やら文言を唱えだした。
いつもの祭祀とは異なり…祭祀を始めるための儀礼的な文言はなく…御大親の方から一切の手続き抜きで…お伽さまに語りかけているかのように見受けられる…。
あの舞うように流麗なお伽さまの所作は…この度はほとんど見られず…西沢は少しばかり残念に思った。
もう一度…一礼すると…お伽さまは何時になく柔和な顔を強張らせて西沢の顔を見つめた…。
「紫苑…大事無いとは思いますが…御大親は三人の父と仰せられました…。
これはおそらく…あなたの父親を指してのことだと…。
宗主…木之内…相庭…西沢総代…今現在…行動を共にしているとすれば…西沢総代を除いた同族の三人…。
これは…僕が御伺いを立てたわけではありません。
何か特別なわけがあるのでしょうが…御大親の方から…このように極めて個人的なお告げを下されるのは大変珍しいことです…。 」
ただ事ではないように思います…とお伽さまは心配そうに首を傾げた。
いい加減…度が過ぎるぞ…西沢の顔に翳が差した…。
奴等はまた…僕の身内を狙っている…。
僕に対する嫌がらせだけで…これほど何人もの身内を襲うだろうか…?
それに…。 西沢の中にもうひとつの疑問が浮かんだ…。
なぜ…あの三人が揃って動いているんだろう…。
お伽さまの件なら連絡済なのに…。
「紫苑…何とか早急に磯見を目覚めさせるしかないよ…。
今からその場へ向かっても間に合わない…。
宗主が一緒なら大丈夫…攻撃を受けても…めったなことにはならないだろう…。」
西沢の戸惑ったような表情を見た金井が安心させるように言った。
心配しているわけじゃない…。
親父も相庭も…宗主がこれと認めた実力者だ…。
不安なのは…その三人がなぜ急に動き出したのか…ってこと…。
外には出せない西沢の胸の内の声を滝川だけが聞き取った…。
「とにかく…どうにかして…磯見を解放してやらないと…。
宗主が相手では…磯見の身体の方が危ない…。 」
金井がまず…磯見の魂を呼び起こそうと試みた…。
身体はプログラムに支配されていたとしても…魂まで支配することはできない…。
まずは何処かに閉じ込められている磯見の本体を目覚めさせることが重要…。
金井はそう考えていた…。
畏まって控えている有と相庭を前に…先程から宗主はじっと黙り込んだまま…。
考えている…というよりは…何かを探っているようでもある。
智明が連絡してきた魔物はまだ動いてはいないようだが…それとは別の気配が動き出しているのが分かった…。
滝川も祥も車中で襲われたが…今…三人の父親はとある屋敷の離れに居て…フロントガラスを蜘蛛の巣にされることだけは免れていた…。
地鳴りのような音とともに座敷がガタガタと揺れ始め…建具が軋み始めた。
来る!
そう感じた瞬間…三人の居る離れ座敷に向かってメキメキと音を立て傍らの松の木が根こそぎ倒れた。
座敷を破壊する一歩手前で有の一撃に遭った松の木は的を逸れ…激しく地面に叩きつけられた。
離れ全体が地震のようにギシギシと激しく揺れる…。
まるで中に居る三人を外へ振り出そうとでもするかのように…。
調度品が音を立てて倒れ…床の間の壷や花器が吹っ飛んだ。
相庭が業封じを試みたが…上手くいかなかった。
業の使い手には、業を使っているという意識も、誰を攻撃しようという意思もないようで、何処から来ている力なのか的が絞れない…。
「業使いが自分の意思で攻撃しているわけじゃなさそうだぞ…。
有さん…あんたにも感じられるかい…?
誰かが意識のない業使いを動かしているのは間違いないんだが…。 」
掴みどころのなさに業を煮やして相庭が言った。
そうだな…と有は同調するように頷いた。
「業使いの力だけを利用しているんだろうが…どうも妙だ…。
相手に憑依して…とか…操って…とかいう気配ではないような気がするんだ…。
実に…厄介だぞ…。
業使いを動かしているものの正体を見つけ出さなければ…反撃できない。 」
何にしても…これは一先ず…かわすしかなさそうだな…。
ふたりは宗主の方を窺った。
この騒ぎにも拘らず宗主は泰然と座したまま…。
飛んでくるガラスや陶器の破片など物ともせず…ただ…何かを探り続けている…。
「宗主…そろそろ…離れが崩れます…。 母屋へ移られますか…? 」
有がそう訊ねると…捨て置け…と気のなさそうな答えが返ってきた。
それなら…と有は三人の周りに障壁を張った。
相庭もそれに倣った。
轟音を立てて離れが崩れ始めた…。
揺らいで亀裂の入った壁がまず崩れ落ち…天井…柱…梁…次々と崩壊していく…。
そこまで来ると…さすがに近付くなと言いつけられていた母屋の者たちも放っては置けず…離れへと駆け付けて来た…。
何処からか分からない攻撃は続いており…突風と砂塵が彼等の動きを阻んだ…。
かろうじて向けられた視線の彼方…完全に崩れ去った座敷の真ん中で…宗主は何事もないかのように瞑想を続け…有も相庭も平然とその場に控えていた…。
「だめだ…目覚めない…と言うか…捉えられない…。
と言うことは…何処かで悪さをしているのは…やはり…磯見自身なのかなぁ…。」
それが無意識だとしても…と金井は忌々しげに息を吐いた。
そう…確かに磯見の中には磯見自身しか存在していない…。
それは西沢にも滝川にもはっきりと感じられた。
「まさか…多重人格ということではないだろうな…? 」
滝川がぼそっと呟いた。
「それは…ない。 ない…と思う。 何年も一緒に暮らしているんだ…。
そんなことがあれば…私にも分かる…。 」
添田がそう言って首を振った。
お手上げ状態の金井に代わって西沢が磯見の意識を探り始めた。
金井や滝川が言うように磯見自身が業を使っているとすれば…意識的にではなくても磯見の中のどこかにそれらしい動きが感じられるはず…。
そう思った途端…西沢の意識の中に意外な言葉が飛び込んで来た。
「宗主から…磯見を止めよ…と…。 」
ええっ…?と周りから声があがった。
「紫苑…間違いありません…。
不思議なことですが…動いているのは磯見くん自身です…。
おそらく…宗主が攻撃してきた相手の意識を捉えたものと思われます…。
極めて曖昧なものを掴むには相当の集中力と時間を要します…。
きっと…どこかに籠もっておられるのでしょう…。 」
宗主の意図を汲んで…お伽さまが言った。
磯見の意識はすべてプログラムに支配されているというのか…?
正気に戻っている時でさえも…?
それでは助けようがない…。
「恭介…もし…僕が攻撃中の磯見の意識を操作したらどうなる…? 」
西沢はそう滝川に訊ねた…。
「HISTORIANが磯見に何をしたか分からない状態で…そんなことをすれば…最悪の場合…磯見の魂が崩壊してしまう…。
奴等がこのプログラムを起動させた時の状況…それさえ掴めれば…対処できるんだが…。」
残念そうに滝川が答えた。
西沢は途方に暮れ…皆と顔を見合わせた…。
磯見の中のプログラムを止める方法はただひとつ…磯見を消してしまうしかない…。
そんなこと…できるわけがない…磯見に何の罪が在る…?
ただ利用されているだけの男を…この手で殺すなんてできない…。
打つ手に窮して西沢も他の者も呆然と立ち尽くした…。
ひとり…西沢たちの動きを外から見ていたノエルは…歯痒くて仕方なかった…。
そんなに深刻に考えなきゃいけないことなのかなぁ…?
大事なのは眠っているこの人を助けることなんでしょ…?
ならば…。
金井たちと別の解決策を話し合うため…西沢が少し磯見と距離を取った隙にノエルはふいに…磯見に近付いた。
西沢が振り返った時には時すでに遅し…ノエルは磯見に何だかわけの分からない一撃を加えていた。
消えろ…要らない記憶…! 魂よ…戻れ…在るべき姿に…!
西沢たちの耳に…そんな声が聞こえたような気がした。
「ノエル…! 磯見に何をしたの…? 」
驚いた西沢が声を上げた。
ノエルはただニヤッと笑った。
おやおや…やってくれましたね…。
お伽さまが微かに笑みを浮かべた…。
磯見が大きく息を吐いた…。 西沢も金井も…そして添田も…心臓が止まるかと思うほどドキッとした…。
治療師の滝川でさえ蒼くなって大慌てで容態を調べた。
「大丈夫…。 意識が戻り始めた…。 」
滝川のその言葉にみんな一斉に胸を撫で下ろした。
周りの慌てふためく様子にノエルは笑いを堪えるのが大変だった…。
僕はただ…要らないものを消してあげただけ…さ。
そんなに難しく考えないでいいんじゃない…?
この人が助かればいいことなんだから…。
そうでしょ…ねぇ…お伽さま…。
次回へ
閉じ込められた磯見の意識は何処に居るのだろう…?
滝川は磯見の中に磯見以外の意識を探した。
意識を失くした端は…ほんの束の間…僅かに磯見らしからぬ気配を感じたが…それもすぐに消えた。
「どうやら…相手の意識が磯見の中に入り込むというわけではないようだ…。
命令する一瞬の時間があれば…それで事足りるみたいだね…。 」
滝川が自分の診立てを述べた。
動いているのは磯見自身ってことか…。
こういう状態にあるということは…磯見の力がどこかでその威力を発揮してるということに他ならない…。
西沢も金井も…添田も…それぞれの組織に警戒を強めるよう指示を出した。
何処の…誰を狙っているのか…?
何をしようとしているのか…?
突然…お伽さまが床に腰を据えて一礼すると何やら文言を唱えだした。
いつもの祭祀とは異なり…祭祀を始めるための儀礼的な文言はなく…御大親の方から一切の手続き抜きで…お伽さまに語りかけているかのように見受けられる…。
あの舞うように流麗なお伽さまの所作は…この度はほとんど見られず…西沢は少しばかり残念に思った。
もう一度…一礼すると…お伽さまは何時になく柔和な顔を強張らせて西沢の顔を見つめた…。
「紫苑…大事無いとは思いますが…御大親は三人の父と仰せられました…。
これはおそらく…あなたの父親を指してのことだと…。
宗主…木之内…相庭…西沢総代…今現在…行動を共にしているとすれば…西沢総代を除いた同族の三人…。
これは…僕が御伺いを立てたわけではありません。
何か特別なわけがあるのでしょうが…御大親の方から…このように極めて個人的なお告げを下されるのは大変珍しいことです…。 」
ただ事ではないように思います…とお伽さまは心配そうに首を傾げた。
いい加減…度が過ぎるぞ…西沢の顔に翳が差した…。
奴等はまた…僕の身内を狙っている…。
僕に対する嫌がらせだけで…これほど何人もの身内を襲うだろうか…?
それに…。 西沢の中にもうひとつの疑問が浮かんだ…。
なぜ…あの三人が揃って動いているんだろう…。
お伽さまの件なら連絡済なのに…。
「紫苑…何とか早急に磯見を目覚めさせるしかないよ…。
今からその場へ向かっても間に合わない…。
宗主が一緒なら大丈夫…攻撃を受けても…めったなことにはならないだろう…。」
西沢の戸惑ったような表情を見た金井が安心させるように言った。
心配しているわけじゃない…。
親父も相庭も…宗主がこれと認めた実力者だ…。
不安なのは…その三人がなぜ急に動き出したのか…ってこと…。
外には出せない西沢の胸の内の声を滝川だけが聞き取った…。
「とにかく…どうにかして…磯見を解放してやらないと…。
宗主が相手では…磯見の身体の方が危ない…。 」
金井がまず…磯見の魂を呼び起こそうと試みた…。
身体はプログラムに支配されていたとしても…魂まで支配することはできない…。
まずは何処かに閉じ込められている磯見の本体を目覚めさせることが重要…。
金井はそう考えていた…。
畏まって控えている有と相庭を前に…先程から宗主はじっと黙り込んだまま…。
考えている…というよりは…何かを探っているようでもある。
智明が連絡してきた魔物はまだ動いてはいないようだが…それとは別の気配が動き出しているのが分かった…。
滝川も祥も車中で襲われたが…今…三人の父親はとある屋敷の離れに居て…フロントガラスを蜘蛛の巣にされることだけは免れていた…。
地鳴りのような音とともに座敷がガタガタと揺れ始め…建具が軋み始めた。
来る!
そう感じた瞬間…三人の居る離れ座敷に向かってメキメキと音を立て傍らの松の木が根こそぎ倒れた。
座敷を破壊する一歩手前で有の一撃に遭った松の木は的を逸れ…激しく地面に叩きつけられた。
離れ全体が地震のようにギシギシと激しく揺れる…。
まるで中に居る三人を外へ振り出そうとでもするかのように…。
調度品が音を立てて倒れ…床の間の壷や花器が吹っ飛んだ。
相庭が業封じを試みたが…上手くいかなかった。
業の使い手には、業を使っているという意識も、誰を攻撃しようという意思もないようで、何処から来ている力なのか的が絞れない…。
「業使いが自分の意思で攻撃しているわけじゃなさそうだぞ…。
有さん…あんたにも感じられるかい…?
誰かが意識のない業使いを動かしているのは間違いないんだが…。 」
掴みどころのなさに業を煮やして相庭が言った。
そうだな…と有は同調するように頷いた。
「業使いの力だけを利用しているんだろうが…どうも妙だ…。
相手に憑依して…とか…操って…とかいう気配ではないような気がするんだ…。
実に…厄介だぞ…。
業使いを動かしているものの正体を見つけ出さなければ…反撃できない。 」
何にしても…これは一先ず…かわすしかなさそうだな…。
ふたりは宗主の方を窺った。
この騒ぎにも拘らず宗主は泰然と座したまま…。
飛んでくるガラスや陶器の破片など物ともせず…ただ…何かを探り続けている…。
「宗主…そろそろ…離れが崩れます…。 母屋へ移られますか…? 」
有がそう訊ねると…捨て置け…と気のなさそうな答えが返ってきた。
それなら…と有は三人の周りに障壁を張った。
相庭もそれに倣った。
轟音を立てて離れが崩れ始めた…。
揺らいで亀裂の入った壁がまず崩れ落ち…天井…柱…梁…次々と崩壊していく…。
そこまで来ると…さすがに近付くなと言いつけられていた母屋の者たちも放っては置けず…離れへと駆け付けて来た…。
何処からか分からない攻撃は続いており…突風と砂塵が彼等の動きを阻んだ…。
かろうじて向けられた視線の彼方…完全に崩れ去った座敷の真ん中で…宗主は何事もないかのように瞑想を続け…有も相庭も平然とその場に控えていた…。
「だめだ…目覚めない…と言うか…捉えられない…。
と言うことは…何処かで悪さをしているのは…やはり…磯見自身なのかなぁ…。」
それが無意識だとしても…と金井は忌々しげに息を吐いた。
そう…確かに磯見の中には磯見自身しか存在していない…。
それは西沢にも滝川にもはっきりと感じられた。
「まさか…多重人格ということではないだろうな…? 」
滝川がぼそっと呟いた。
「それは…ない。 ない…と思う。 何年も一緒に暮らしているんだ…。
そんなことがあれば…私にも分かる…。 」
添田がそう言って首を振った。
お手上げ状態の金井に代わって西沢が磯見の意識を探り始めた。
金井や滝川が言うように磯見自身が業を使っているとすれば…意識的にではなくても磯見の中のどこかにそれらしい動きが感じられるはず…。
そう思った途端…西沢の意識の中に意外な言葉が飛び込んで来た。
「宗主から…磯見を止めよ…と…。 」
ええっ…?と周りから声があがった。
「紫苑…間違いありません…。
不思議なことですが…動いているのは磯見くん自身です…。
おそらく…宗主が攻撃してきた相手の意識を捉えたものと思われます…。
極めて曖昧なものを掴むには相当の集中力と時間を要します…。
きっと…どこかに籠もっておられるのでしょう…。 」
宗主の意図を汲んで…お伽さまが言った。
磯見の意識はすべてプログラムに支配されているというのか…?
正気に戻っている時でさえも…?
それでは助けようがない…。
「恭介…もし…僕が攻撃中の磯見の意識を操作したらどうなる…? 」
西沢はそう滝川に訊ねた…。
「HISTORIANが磯見に何をしたか分からない状態で…そんなことをすれば…最悪の場合…磯見の魂が崩壊してしまう…。
奴等がこのプログラムを起動させた時の状況…それさえ掴めれば…対処できるんだが…。」
残念そうに滝川が答えた。
西沢は途方に暮れ…皆と顔を見合わせた…。
磯見の中のプログラムを止める方法はただひとつ…磯見を消してしまうしかない…。
そんなこと…できるわけがない…磯見に何の罪が在る…?
ただ利用されているだけの男を…この手で殺すなんてできない…。
打つ手に窮して西沢も他の者も呆然と立ち尽くした…。
ひとり…西沢たちの動きを外から見ていたノエルは…歯痒くて仕方なかった…。
そんなに深刻に考えなきゃいけないことなのかなぁ…?
大事なのは眠っているこの人を助けることなんでしょ…?
ならば…。
金井たちと別の解決策を話し合うため…西沢が少し磯見と距離を取った隙にノエルはふいに…磯見に近付いた。
西沢が振り返った時には時すでに遅し…ノエルは磯見に何だかわけの分からない一撃を加えていた。
消えろ…要らない記憶…! 魂よ…戻れ…在るべき姿に…!
西沢たちの耳に…そんな声が聞こえたような気がした。
「ノエル…! 磯見に何をしたの…? 」
驚いた西沢が声を上げた。
ノエルはただニヤッと笑った。
おやおや…やってくれましたね…。
お伽さまが微かに笑みを浮かべた…。
磯見が大きく息を吐いた…。 西沢も金井も…そして添田も…心臓が止まるかと思うほどドキッとした…。
治療師の滝川でさえ蒼くなって大慌てで容態を調べた。
「大丈夫…。 意識が戻り始めた…。 」
滝川のその言葉にみんな一斉に胸を撫で下ろした。
周りの慌てふためく様子にノエルは笑いを堪えるのが大変だった…。
僕はただ…要らないものを消してあげただけ…さ。
そんなに難しく考えないでいいんじゃない…?
この人が助かればいいことなんだから…。
そうでしょ…ねぇ…お伽さま…。
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