徒然なるままに…なんてね。

思いつくまま、気の向くままの備忘録。
ほとんど…小説…だったりも…します。

昭和ひとけた夕涼み…親父の夏はクール…!

2006-11-14 11:42:00 | ひとりごと
 クールビズの季節が終わったと思ったら…即…ウォームビズ…。
言葉で言うのは簡単だけど…冷暖房に慣れきった現代人の身体が季節の変化に対応できるようになるまでにはちょっと時間がかかりそうだね…。  

 だけど…ワイシャツにノーネクタイ…は如何にもだらしなくて格好悪い…。
営業マンなんかはきっちり服装を整えていないと仕事にならないんだから…冷房無いと地獄…可哀想だよね…。    

 ちゃんと機能的にデザインされた新しいビジネス・ファッションを考えてくれないかなぁ…。
公けでも失礼にならない洗練されたデザインのものを…さ…。  

 そう言えば…オトンの時代には開襟シャツというのがあったよ。
格好良くは無いけれど…ずっと涼しげ…。 
扇子に帽子…でワンセット…。
そうだね…小津映画なんかを見たことある人は…あれか…ってピンと来るかもね。

 昭和中期頃までは…夏の夕方には縁台を出して…夕涼み…なんて風景があちらこちらで見られた…。  

 縁台…分かるかなぁ…。 木や竹で作られたちょっと細長い腰掛でね…。
真ん中に将棋盤や碁盤なんかを置いて…おじさんたちが興じるわけ…。
 何をするでもなく…静かに涼んでいる人も居たし…煙草ふかしてたり…西瓜齧ってたり…ひとさまざま…。

 古い家なんかでは濡れ縁に腰掛けてってところもあったんだけど…それは家の裏手側だから内輪の楽しみ方…。  

 あ…濡れ縁は…家の外に張り出した細い廊下みたいなもの…。
今はほとんど見られないね…。

 下町のおじさんたちの姿がまた涼しげ…。 猿股一張で下駄や突っ掛け履き…。
猿股は…トランクス型のパンツ…ね。
夏用の薄い股引の人も居るけど…大概…上は裸…時々…薄い綿の前開きのシャツ。
股引はロンパンのことよ…。

腰や肩から手ぬぐいぶら下げて…片手に団扇…そんな感じ…。

それで…縁台で夕涼みを楽しむの…。 

 風呂上り…風呂のない家は行水した後なんかにパタパタと団扇で身体を扇ぎながら外に出てくる…。
そうそう…行水ってのはね…大きな盥に…たらいと読むのだけど…水やお湯を入れて浸かる風呂の代用品…。  

 屋外で使うものだけど…勿論…他所さまからは見えないところでね…。
まあ…言ってみれば…簡易露天風呂みたいなもの…だね…ははは…。

 昭和中期までの夏のおじさんたちは如何にも涼しげだけど…今なら…即…通報されてお巡りさんに捕まる可能性大…。
トランクス一張で…その辺歩いていたら…惚けか変態だと思われるかも…。
当時はわりと一般的だったんだけど…それでも…上流家庭には見られない光景だったかもしれないな…。  

 おじさんたちの傍では子供たちが花火…。
ネズミ花火…ロケット花火…線香花火…火をつけると煙を吐いて燃えカスがもこもこっと伸びて来る蛇花火…。 

 今はほとんど中国など外国で作られたものだけど…その頃は全部日本製…。
見た目はほとんど変わらないけど…火をつけた後の線香花火はまったく違うよ。

 お国柄の違いなのか…外国のものは…ぱっぱっと菊花が散って柳になって簡単にお終いだけど…日本製のものは火球が落ちるまで楽しめる…。 

如何にこの火球を落とさないように長く持たせるかが…線香花火の醍醐味なんだ。

よーいどん! 

 参加者一斉に火をつけました…。 豪快に菊が散ります…まさに火花…。  あ…柳になりました…。
 さあ…だんだん玉だけになっていきます…。
Aちゃん大きいです…Yくん小さい…Eくん…ああっ…落下!。
まだ…柳が散っています…まだ行けます…。

ああ~残念…重みに耐えられなかったかAちゃん落ちたぁ…。
Yくん勝ちぃ!  

そんな感じ…子供はね…。

大人は…しっとりと…儚げなこの花火に人生を映して…物思いに耽る…。
特に夏の終わりの線香花火は…じんわりと味わい深い…。

嗚呼…切ないなぁ…なんてぇことはずっと後の話で…まだ子供だったから楽しいだけ…難しいことは考えてなかった…。

おじさんたちの夕涼み…。  

こんな寒い時期になって…突然…思い出しちゃった…。

遠い夏の日のことだよ…。