徒然なるままに…なんてね。

思いつくまま、気の向くままの備忘録。
ほとんど…小説…だったりも…します。

焚き火と銀杏

2006-11-17 19:09:00 | ひとりごと
 風の音が変わった…。 匂いも…肌触りも…。 冬が来ているね…。
ジョウビタキが可愛い声を聴かせてくれる…。

 毎年…よく…忘れないで来てくれるね…。
有り難いこと…。

 今年は長いこと暖かい日が続いたから…急な寒さは堪えるな…。
紅葉の季節をすっ飛ばすかとも思ったけれど…駆け足で…木々は色付いている…。
ちゃんとお見せしますよ…と言わんばかり…。

もう…銀杏も落ちた頃かな…。


 毎朝…分団の集まる神社に何本も大きな銀杏の木があった…。
春には温かな木漏れ日を…夏には涼しい木陰を…秋には美味しいおやつを…冬には焚き火の枯葉・枯れ枝を…一年中何某かプレゼントしてくれる…。
優しい木だった…。

朝早くから近所のおじさんたちが焚き火を始める…。
分団の子供たちが集まってくる前に落ち葉・枯れ枝を掻き集め…境内を清めて…。

早くに到着した子供たちは…銀杏を集める…。
素手で触っちゃだめだよ…。
かぶれるからね…。

誰も口では言わないけど…お兄さんやお姉さんのすることを見て覚える…。
この実は…手で触らないほうがいい…と…。

集めた銀杏を靴で踏んで種を出し…種だけを焚き火の灰の中に埋める。
触れないのに…どうやって…?
落ちてる枝を使うんだよ…。

炎の中に入れちゃだめだ…。
材木の切れ端が炭になったあたり…まだ火の気のあるところ…。
ちゃんと自分の場所を覚えておくんだ…。

焚き火は煙たい…。 大きな焚き火はパチパチと音を立てて炎が渦巻く…。
火の粉が舞って絡みつく…。
初めての挑戦は…ちょっと怖いかな…。

だけど…最初は不安げな一年生も…すぐに慣れる…。

パンッ! パンッ! パンッ!

焚き火の周りのあちらこちらで…銀杏の弾ける音…。
時には焚き火の外へ飛んでくる…。

これ…僕の…! 

あっ…あたしの割れちゃったぁ!

上手く焼けるとは限らない…。
割れたり焦げたり…全部弾けてなくなっちゃったり…。

それでも…ひとつふたつ…火傷しそうな熱い殻を剥いて食べると…登校前のおめざとしては大満足…。

そうこうするうちに…分団長の出発の声がかかる…。
行くぞ…並んで…。

おじさんたちに見送られて…今日も学校へ出発…。

焚き火の灰の中には…幾つか炭になった銀杏が残る…。

行ってらっしゃい…。
気をつけて…。