徒然なるままに…なんてね。

思いつくまま、気の向くままの備忘録。
ほとんど…小説…だったりも…します。

万緑叢中紅一点…石榴(ざくろ)

2006-11-22 17:10:00 | ひとりごと
 万緑叢中紅一点   
 動人春色不須多 

 この詩を始めて読んだのは高校の漢詩の授業で…だったか…定かではないが、この詩の前半…万緑叢中紅一点…の部分にいたく感動したのを覚えている…。

 石榴の詩…王安石の作と言われているが…よくは分からないらしい…。
以来…石榴の木に花の咲く姿を見るたびに…なるほどそうだなあ…と感じる…。

 えっ…詩の言わんとするところに…感動したのかって…? 
 いやいや…詩自体は極めて格言的なことを言ってるんであって…感動したのはその表現の方…。
内容の如何ではなく…緑の葉の中に浮かぶ少し黄味を帯びた赤の花の姿に…である。 

 学生時代、校舎の横に植えられてあった石榴が、毎年花をつけるのを楽しみに見ていた…。
朱と赤の中間をいく絶妙な色具合…何色と表現すべきだろうか…言葉に迷う…。
石榴色…と言っていいものなのかどうか…。

 きりっとしていて媚びないところが石榴の良さ…。
そうかと言って相手をドンと突き放すわけでもなく…その姿態の其処此処に何とも言えない色気が見え隠れ…。 

 ことに…雨の日は魅力的…煙るような雨の中にポッと浮かぶ艶やかな姿はまさに絶品…。
詩人や俳人はこんな情景をすらすらっと文字にするんだろうけれど…そういう能力がなくて残念だ…。 

 皺の少ない脳の中からテキストの文字がきれいさっぱり消し飛んでも…そういうことだけは覚えているから不思議だ…。
要らないことだけ吸収するようにできてるんだね…きっと…。 

 嫌いだって言う人もいる…。 傷口みたいで…。
う~ん…確かに石榴の実はぱっくり裂けるからなぁ…。
 何しろ…人間の肉の代わりに改心した鬼子母神が食べた実らしいからね…。
御釈迦さまに頂いたとかで…。 


 石榴と言えば…ガーネットのような実が素敵…。
紅色の滴を透明なガラスで被ったような愛らしい実が黄味がかった赤の丸い皮の内側にぎっしりと詰まっている…。

 指で剥がすとぽろっと種を含んだ実が取れる…。
惜しむらくは…剥がした後の内皮の白さがすぐに茶色く変色してしまうこと…。

 見た目も綺麗なら味も良い。 
ただし…慣れないと舌に残る渋みが気になるかもしれないな…。
特に幼い子供には…好き嫌いがあるかもね…。 

粒が小さいから面倒だという人も居るかも知れないが…そういう人は最初に外しておいて一挙にいこう! 

 最近…スーパーで売っている濃いピンク色の石榴は輸入物…中まで濃いピンク…まるでルビーだね…。
試しに食してみたが…自分の知っている石榴とは似て異なるもの…。
まるで石榴ジュースみたい…。

 うちには石榴の木はなかったので…もっぱら頂き物だったのだが…子供の頃に味わった石榴は小ぶりながら…赤…朱…黄…のグラデーション…中は赤…。
輸入物よりちょっと濃い目の味かな…。

 何しろ…石榴の実と言えば…当時は庭なんぞに植えてある木に生るもので…お店で買うようなものじゃなかったから…なぁ…。 

 何でも手に入るいい時代と言えばそうだけれど…できれば石榴も昔ながらのものがいいな…。
 生まれた国はイランらしいのでもともとのご先祖は一緒なんだろうけど…長い時の間にそれぞれの気候風土に合わせて変化していったんだろうね…。

見たことないけど…ピンクの石榴の花は…ピンクなんだろうか…?

 何だか紅一点のイメージとはかけ離れていくようだね…。
まあ…この詩も中国のものだから…日本的な感覚でいけば…って話だけど…。
それは置いといて…ちょっとだけ我儘言わせて貰おう…。

この国に根付いた石榴の赤がずっと護られていきますように…。