テムテムな日常

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やさしくない嘘

2008-04-11 | 介護職
先週から担当している利用者さん・・・息子さんがお医者さんでご本人も元看護士長まで勤め上げたバリバリのキャリアさん。プライドがとっても高く、自分が認知症であることなどまったく認識されていません(まぁ、認知症ならそれが普通なのですが)。近所で開業している息子さんのクリニックへしょっちゅう用事もないのに顔を出し、客商売なのに体裁が悪い、というのはお嫁さんの弁。簡単に言ってしまえば「ややこしい利用者さん」ということで、私に出番が回ってきました。

昔からどうも人に警戒されないタイプの人間に見えるようで、知らない人に道を尋ねられることなどしょっちゅうだし、普通に歩いていても不審な人に声をかけられたりつきまとわれたり、電車に乗れば精神疾患を患う人に抱きつかれたり・・・と、日常生活において得する場面というのはまったくないのですが、介護の仕事をするにあたってはこの「人畜無害な雰囲気」というものがとても重宝されるようで、うちの事業所でも「気難しそうな人」「認知症がかなり進んでいる人」「人当たりの悪い人」などに振り当てられることが多いのです・・・いや、別に良いのですよ仕事だから・・・でも、今回のケースはちょっとしんどいのです。

その利用者さんはとってもプライドが高く、介護を受ける側に自分がいる、という認識がまったくないため、週に3回通っているデイサービスも「ボランティア」だと思って通われています。自分が行くことでまわりの人間に役に立てている、と信じて疑っておられません。そんな方なので私がホームヘルパーとして訪問するのも「お料理を習いに来た」ということにしているのです。私は派遣時間の1.5時間で、利用者さんと一緒に買い物に行って晩ご飯を作る(のを教えてもらう)わけです。

嘘をつくことは仕方のないことだと思うのです。実際、お料理のことはよく知っておられるし、上手にこなさはります。だけど、「習いに来てるのにどうして一緒に食べないの?」「習いに来てるのにどうして買い物のお金をおいていかないの?」という疑問に・・・私は答えられません。言葉を濁し、旨くその場をやり過ごすしかないのです。

正論なんですよ・・・お料理を習いに来て、一人分しか作らないなんてどう考えても変だし、工程のほとんどを利用者さんにやってもらう、という「習い方」も不自然です。この援助活動はいったい誰のためになっているのでしょうか??

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