第32話
ナムの持ってきたグラスから、毒薬が検出されたことをウィンはナムに伝えます。そのグラスをどこからもってきたのかウィンに尋ねられ、ナムはゲーオが祖母に新しい薬と称し飲ませようとしていたことを話します。ゲーオがあんなに愛し愛されていた祖母を殺そうとしたことに、ウィンは驚きを隠せません。ナムにも、ラダーに真相を話すよう諭します。
ウィンとナムがこっそり会っているところを見ていたノック。射撃場で練習に励むゲーオに「いったい何を考えているのか」と問い詰めます。ゲーオが人を殺したこと、さらに祖母までも手にかけようとしていることを知ったノックは、ゲーオに失望します。「もうなにもしてあげられない」とゲーオを振り切ろうとするノックを、ゲーオは銃で撃ち、池に落としてしまいます。
ラダーに、ゲーオが祖母を殺そうとしていることを告げようとするナム。しかし、言いかけた所でゲーオに邪魔されてしまいます。ラダーと接触しようとしたナムに、ピグンは「絶対に言ってはダメ」と強く言います。ナムにはピグンがどうしてそんなことを言うのか分かりませんが、ピグンはゲーオに「ナムが今度私の邪魔をしたら、殺す」と脅されていたのでした。
祖母が、自分を弁護士に会わせたがっていると気づいたナムは、弁護士のもとを訪れます。祖母の真意が分からないナムでしたが、弁護士から、ナムとラダーがDNA鑑定の結果、親子関係であるという書類を渡され、混乱します。自分とゲーオが同じ誕生日だったということに気づいたナムは、ゲーオがピグンの娘ではないのかと気付きます。
ゲーオに撃たれてしまったノック。これでとうとう(生きていれば)ゲーオには愛想が尽きたことでしょう。そしてついにナムが真実を知ってしまいました。必要以上にゲーオを庇うピグン、最初の出会いから惹かれるものを感じたラダー、すべての出来事がナムのなかで一本の線につながろうとしていますが、ここまで知ってしまったナムの身が危険です。ゲーオはもう、何をするか分かりません。どうか一刻も早くラダーに真実を知らせて欲しいですね。
第33話
自分とゲーオが何らかの事情のもと入れ替わってしまったのではないかと考えたナムは、ガーンに自分達が生まれた日のことを尋ねます。「あの日は、父の運転する車がペッチャブリーでバスと衝突して、その拍子に産気づき急遽入院したらしい」というガーンの言葉が、自分の出生時と同じであることから、ナムは自分の推測どおり、自分がピグンの娘ではなく、本当はラダーの娘であることに気付きます。
一度は死んでしまおうとも思ったナムでしたが、自分を探しに来たピグンに真相を尋ねます。「仕方のないことだった」と、ナムが自分の娘ではないことを認めるピグン。ナムは深く傷つきますが、ピグンもまたナムを傷つけてしまったことを後悔していました。母でありながら、悪魔のような心をもってしまったゲーオのことを諌めることもできないでいた自分を許して欲しいと、ピグンはナムに許しを請います。
母とチェンマイに来ていたゲーオは、バンコクのピグンやナムのことが心配でたまりません。こっそりピグンに電話しているところをラダーに見られてしまい、動揺します。ラダーもまた、ナムのただならぬ様子に不審なものを感じていたのでした。そのころバンコクでは、すべてを知ってしまったナムが、祖母に別れを告げ、屋敷を出て行こうとしていました。
屋敷を出て行こうとしていたナムは、ピグンに呼び止められます。自分の存在があることでゲーオが全てを失うことになるのを恐れ、またひそかに母としてゲーオのちかくにいることを選んだピグンの幸せを願い、屋敷を出て行こうとしたナム。そんなナムを、もうピグンは引きとめようとしません。そしてナムが去ったあと、チェンマイからラダーとゲーオが帰ってきます。
ノックは生きていましたね。これからノックがゲーオの罪を暴いていく側になると思うのですが、助かってほんと良かったです。自分がここにいてはゲーオが全てを失うことになる、そしてそれはピグンにとっても辛いこと・・・というナムの決意は分かるのですが、あまりにもナムが可哀想です。そしてもうすぐゲーオたちがが帰ってくるというのに、祖母をひとりきりにするのは危険すぎます。ゲーオを止められるのはピグンしかいません。
第34話
帰宅したピグンたちは、祖母が混乱し取り乱していることに驚きますが、ナムが残した手紙を見つけ、すぐさまナムを探しに行きます。ノックから、ゲーオがピンを殺したこと、そのことを知ってしまった自分も口封じに殺されかけたことを聞いたウィンもまた、ナムの身を案じ、迎えに急ぎます。
ゲーオは祖母を殺すため、使用人を殴って気絶させ、祖母を車椅子にのせてこっそり連れ出します。祖母がいなくなったのはゲーオのしわざだと気付いたピグンは、必死になって追いかけます。祖母に対する憎しみしかなくなってしまったゲーオは、川岸の斜面で、祖母の車椅子を押す手を離します。
川に転落しそうになった祖母を、ナムは助けます。しかしその様子をゲーオが見ていました。「もう何もかも知ってしまった」というナムの言葉を聞き、怒ったゲーオはナムを殺そうと首を絞めます。そこへウィンたち一同がようやく到着します。「どうしてこんなことをするの?」とラダーに問い詰められるゲーオ。ピグンも「本当のことを話しなさい」と促します。
焦ったゲーオはナムを人質にとり逃げます。祖母を屋敷に連れて帰ったラダーたちは、祖母に促され、DNA鑑定の結果を目にし、とうとうナムがラダーの娘で、ゲーオはピグンの娘であることを知ってしまいます。そしてついに警察も、指紋からゲーオを殺人容疑で手配します。ナムの命が危ない!一同はふたりを急いで追いかけます。
ついに真実が明るみに出ました!ナムこそがラダーの娘、そしてガーンにとっては実の妹・・・。ウィンにとってもナムは「使用人の娘」ではなく、「良家のお嬢様」になるわけです。そのナムが、今まで娘だと、妹だと思っていたゲーオに殺されようとしています。ゲーオのことをはじめて毅然とした態度で叱ったピグン。もうゲーオのことを守ってくれる人はいないのです。どうかこれ以上罪を重ねないで欲しい。ウィン、早くナムを助けてあげて!!
第35話
ナムを人質にゲーオは廃工場に立てこもります。「あんたと、ピグンが私の人生を狂わせた!なにもかも、あんたたちのせいだ」とナムを責めるゲーオ。ナムはすでにゲーオに殴られて怪我をしています。ゲーオはナムを殺そうと、引き金を引こうとしています。そこへとうとう、ピグンがやってきます。
「ナムを殺しても、無意味なこと。ラダーは今まであなたを娘として育ててきた。血のつながりなんて関係ない。これからもあなたは家族に愛されるはず」。しかし逆上しているゲーオは、ナムを撃ってしまいます。「ナムを殺すなら、母である私を殺してからにしなさい」と、ピグンはナムを庇います。
ウィンとノックも到着します。ピグンと、電話によるラダーの説得で一度は落ち着きを取り戻しかけたゲーオでしたが、パトカーのサイレンに再び逆上、今度はピグンを人質にとって階段を登っていきます。ラダーと、警察も到着し、ゲーオに銃をおくよう呼びかけるのですが、ゲーオは警官に銃を向けてしまいます。危険を感じた警官の銃弾から、ピグンはゲーオを守り。撃たれてしまいます。
撃たれてしまったピグンを、ゲーオは呆然と見つめます。身を挺して自分のことを守ってくれたピグン。いつも自分を助け、庇ってくれたピグン。罪を犯してしまったあとも、変わらずに愛情を注いでくれたピグン。そんなピグンに対して、初めて母親としての愛情を感じたゲーオ。「いつか生まれ変わったら、またお母さんの子供になりたい」と、ゲーオはピグンに跪きますが、その手にはまだ拳銃が握られていました。
今まで育ててくれたラダー、生みの母であるピグン、自分を愛してくれたすべてに感謝し、そして自分の犯した罪を心から反省し、ゲーオは自分に向けて引き金を引きます。
ゲーオはラダーの娘として埋葬されました。「私たちは、あなたのことを許します」と祖母は語りかけます。ゲーオの犯した罪は決して許されるものではない。ですが最期に罪を認めたゲーオのことを、憎みつづけるものはいませんでした。葬儀が終わったあと、ノックはゲーオの墓標にそっと別れを告げます。
ゲーオの喪があけてから、ウィンとナムの結婚式が行われました。「うちの娘をよろしく」というラダーに、ウィンも「約束します」と答えます。ガーンも手術をすることになったし、祖母もすっかり元気になったしで、屋敷は久しぶりに明るい空気に包まれます。ひとりそっと抜け出すナムを追いかけてきたウィン。ナムは「この場にお母さんもいられたらよかったに」と少し寂しそうな表情をみせます。
ピグンは出家し、尼僧となっていました。自分の犯してしまった罪を償うため、ゲーオの犯してしまった罪を償うため、仏に仕える身となったのです。「ナムが幸せになれたのなら、もう思い残すことはなにもない。ウィン、ナムのことを頼みます」と二人に話すピグン。そんな母を、ナムとウィンはやさしく見守ります。帰っていく二人の後姿を、ピグンは今までにない穏やかな表情でいつまでも見送っていました。
最終話・・・ゲーオが自ら死を選ぶという予想もしなかった展開にビックリしてしまいましたが、ゲーオらしい最期だったというべきでしょうか。ピグンのことを初めて母として認め、今まで自分が深い愛情に守られていたことに気付いたゲーオ。やっと素直で愛らしいゲーオになれたのに、残念でした。ゲーオの墓標に「さよなら・・・」とバラを置くノック。きっとこの先彼にも幸せな恋が訪れるでしょう。そしてめでたくウィンとナムは結ばれるわけですが、当然のようにナムに何度もチューするウィンが可愛かった!そしてラダーやガーンと「家族」としての絆を深めていくナム・・・幸せそうでよかったですね。「ナムが本当の妹でうれしい」というガーン。これからは「妹」としてナムを愛していくわけですよ。いや~、一時はガーンの不幸っぷりにもらい泣きしっぱなしでしたが、ようやく彼にも幸せが訪れました。ピグンは出家したわけですが、生きて罪を償うというのも、ピグンらしい結末・・・それぞれが、あるべきところにちゃんとおさまった、納得のエンディングでした。
「ダイヤを囲むガラス」、毎回レビューを書いてきたわけですが、たくさんの鑑賞仲間ができて、とても楽しく見続けることができました。みなさん、長い間お付き合いくださいまして本当にありがとうございました。レビューを書きながら観る、というのもはじめての経験だったのですが、結構楽しかったし、タイ語の勉強にもなりました。またなにかおもしろそうなものがあれば、次回も一緒に楽しみましょうね。