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糖尿病性腎症の漢方治療 医案6 腎病漢方治療 174報

2013-07-17 00:15:00 | ブログ

章真如氏医案 陰陽両虚 水液泛濫案

章真如臨床経験?要より)

患者:毛某某 61歳女性 元党幹部(退職)

初診年月日:記載無し

病歴

糖尿病歴10余年、血糖値は高いまま水平であり、白内障や四肢麻木などの合併症があった。嘗てはインスリン等薬物を反復使用、近年来浮腫が顕著になり、下肢に酷く、小便量少、肢軟無力。尿検査:尿糖(4+)蛋白(3+)RBC(+)、食前血糖値9.4mmol/L169m/dL)、食後血糖値16.8mmol/L302m/dL)、降糖薬、利尿薬全て無効で、患者は中医治療を要求した。

初診時所見

脈沈細数、舌体腫胖歯痕あり、舌質淡、蒼白、双下肢腫脹、顔面眼瞼浮腫、両眼の開閉困難、精神疲弊、不思飲食。

弁証

病は消渇、慢性化して正衰、肺脾倶弱、腎が最も衰微、肺虚にて水液を敷布できず、脾虚にて制水不能、腎虚にて水道を主持不能、以って水液泛濫に至る。

治法:補腎益気利水

処方金匱腎気丸加味

桂枝8g 附子片8g 熟地15g 山茱萸10g 山薬20g 澤瀉10g 牡丹皮10g 茯苓15g 枸杞子15g 蒼朮白朮15g 黄耆20g 懐牛膝15g 薏苡仁30g 毎日1剤 

二診

患者5剤服用後、小便の量がやや増えた、そこで更に5剤服用、小便が暢通となり、面部及び四肢の浮腫が次第に減退、病は薬剤に反応していたので、さらに10剤を服用するように伝えた。

三診

服薬20剤、全身の浮腫は次第に減軽、眼瞼に僅かに浮腫あり、下肢無力、脈沈細、舌淡、苔白。尿検査:尿糖(4+)、蛋白(3+)RBC(+)、再度補腎扶脾、益気利尿する。

処方:肉桂8g 附子片8g 熟地20g 山茱萸15g 山薬20g 澤瀉10g 牡丹皮10g 茯苓15g 黄蓍20g 蒼朮白朮15g 薏苡仁30g 仙茅10g 仙霊脾10g 党参15g 10剤再服用するように言う。

四診

浮腫は全部消退し、精神状態もやや改善、下肢歩行時に乏力、舌脈同前、空腹時血糖7.8mmol/L1404m/dL)、尿検査:尿糖(3+)、蛋白(2+)、RBC(+)、病情は進歩あり、再度服用10

五診

飲食、精神状態次第に回復、小便暢通、患者は自分で尿糖を毎日試験紙で検査、早間(早朝尿)尿糖(-)、晩間(夕方)尿糖2+、病情は既に安定段階になっており、長期に服薬するように言い、原方10剤を処方。経口糖尿病薬、西洋薬(以下)を常に服用し、定期的な尿検査、血糖値の検査を行った。3ヵ月後、病情は安定し、服薬を堅持させた。

西洋薬:

达美康Gliclazide Modified Release Tablets:(日本ではグリミクロンで知られる)

?降糖Glibenclamide:(日本ではオイグルコン、ダオニールで知られる)

評析

「臨床指南医案」に言う:「三消は上中下の分はあるが、その実は陰虚陽亢を越えるものではなく、すでに津涸熱淫である。」もし消渇病が慢性化し、陰損が陽に及べば、肺 脾 腎陽気欠虚に到るのは必然で、張景岳が言うように「肺虚はすなわち不化精、不化水、脾虚ではすなわち不制水、腎虚ではすなわち水は妄行する。」これが糖尿病に併発する腎病の病機であり、本案では金匱腎気丸加味にて補腎扶脾、兼益肺気し、水腫をよく消退させ、肺脾腎を回復させ、糖尿病も安定したのである。

ドクター康仁の印象

格別の印象は無いのですが、

「臨床指南医案」や張景岳の総論を聞かされましたね。
医案は症例報告ですから、勿論、総論ではありません。

個別の報告で欠かせないのは「追跡検証が可能」ということです。

初診年月日が記載されていないということは決定的な欠陥です。

どの症例かを特定しようにも追跡が不可能で、勿論検証も不可能です。

極論を言えば、創作された「物語(ものがたり)」の可能性すらあります。

二仙湯(仙茅 仙霊脾 他)については過去の記事をご参照ください。

http://blog.goo.ne.jp/doctorkojin/d/20121115

http://blog.goo.ne.jp/doctorkojin/d/20080711

氏の同門会での弟子間の会話

A.「あの医案ね、俺はどの症例か知らないし、見ていないんだが」

B.「俺も見てないよ。C君は見ている?」

C.「俺も見たことないよ。D教授は?医案書いたのはD君だったね」

D.「あの程度なら、軽いよ 1020

A.B.C「?」

愛して信じているものに裏切られた時に、人は深く傷つくのです。そう思いませんか?

2013717日(水) 記