gooブログはじめました!

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

糖尿病性腎症の漢方治法運用総説2 腎炎腎不全の漢方治療167報

2013-07-08 00:15:00 | ブログ

前稿に引き続き、糖尿病性腎症の漢方治法運用の総説をお話します。

(2)健脾益気 滋陰清熱法:気陰両虚証に適用する。

臨床症状

面色無華(むか)、神疲乏力、形体消痩、腰膝酸軟、心悸気短、口渇欲飲、尿頻量多、舌尖紅、苔白、脈細数無力。

症候分析

陰虚内熱が長引き、耗気傷血、気血両虚となると、気血が顔面に上らず面色無華となる;気血が心を養うことが不足し、心悸気短となる;筋脈肌肉失養により形体消痩、腰膝酸軟となる;血虚即ち口渇欲飲、気虚は津液が下泄しやすくなり尿頻量多となる。

舌尖紅、脈沈細数無力は皆、気陰両虚の証である。

方薬:生脈飲(しょうみゃくいん)合玉女煎(ぎょくじょせん)加減(人参 麦門冬 山薬 黄耆 生地 玄参 天花粉 石膏 知母 牡丹皮 赤芍 竹葉

人参 山薬 黄耆にて健脾益気:生地 麦門冬 玄参 天花粉にて滋陰生津;石膏 知母 赤芍で清熱涼血化瘀;竹葉は清心除煩に働く。口渇欲飲の者には玉竹 山茱萸を加味し、大便干結の者には火麻仁(かまにん フオマレン 麻子仁のことです) 大黄を加える。

生脈飲

さて生脈飲の出典は李東垣の「内外傷弁惑論」です。組成は人参党参 生干人参 西洋参 麦冬 五味子であり、気陰双補剤です。党参は補気薬として分類されますが、補陰、生津の作用もあります。生津に重きをおくなら西洋参を使用します。補気に重きをおくなら生干人参を用います。李東垣の時代では野山人参ですから、大補元気といわれるように補気が主たる作用です。

温薬の五味子には斂陰という効能がありますが、薬性が温なので、熱証と判断した場合には私は使用しません。本稿にも五味子は配合されていません。

玉女煎(ぎょくじょせん)(景岳全書)

組成は石膏 生地黄 牛膝 麦門冬 知母ですが、牛膝は本稿には配伍されていません。

連想させる方剤は?

増液湯(ぞうえきとう)

目を凝らさなくても増液湯も配伍されていることに気がつきます。

本稿加減の玄参 生地黄 麦門冬の組み合わせは増液湯(そうえきとう)の組成です。熱性疾患で脱水して口渇するものを治す生津止渇作用を持ちます。増液湯に大黄と芒硝を加えたものが増液承気湯であり、温熱病による脱水が原因の腸燥便秘の方剤です。増液湯、増液承気湯ともに温病条件に記載された方剤であり、増液承気湯は後漢時代の傷寒論の六経弁証での陽明(温)病不大便に対する通便剤であり、「増水行舟の代表方剤」とされます。玄参の作用を考えると、血熱により津液が損傷された状態の時に、血熱自体を清熱涼血作用により下げ、滋陰生津作用により乾きを癒すという言わば原因治療と対症療法にまたがる位置と判断できます。

竹葉石膏湯(ちくようせっこうとう)

竹葉と石膏に注目すれば「竹葉石膏湯(傷寒論)」も想起されますね。

竹葉石膏湯の組成は、石膏 生甘草 粳米 竹葉 半夏 人参 麦門冬ですので、本稿の組成とは粳米 半夏 生甘草を除いた竹葉石膏湯が配伍されているとも言えます。白虎湯から知母を除き竹葉に変えて、補気の人参、補陰の麦門冬を加えた「大寒の方剤を清補の方剤に変えた」ものが竹葉石膏湯です。

(3)滋補肝腎 養血潤燥法については次回にお話します。

                                                                     

ドクター康仁の印象

漢方では診断することを「弁証する」といいます。病名を決定することではありません。ところが、現行の医療保険制度では「病名」を決定しないと、保険が効きません。

糖尿病の進行段階では漢方の「弁証」は常に変化していきます。

ややこしいのは病名を「インスリン投与の必要な1型あるいは、経口糖尿病薬までで血糖コントロールが可能な2型糖尿病、糖尿病の合併症である糖尿病性神経症 糖尿病性網膜症 動脈硬化性冠状動脈疾患 脳梗塞後遺症 高血圧症 糖尿病性腎症 慢性腎不全 などなど 西洋医学的病名と使用薬剤が保険医療制度で認められている場合に、「保険診療」となるのです。

私どもが、一番困惑しているのは、短的に言えば、

気陰両虚や、陽虚水泛、湿濁内蘊 と弁証しても、1対1の西洋医学の病名と対応するものでないので、保険を効かすには西洋医学的病名を捜してレセプトに記載しないといけない点であり、弁証≠西洋医学の病名診断にならないことです。さらに、保険の効く生薬数が限られているので、出来合いのエキス剤を組み合わせなければならないことです。そのエキス剤の保険適応が非常に曖昧です。

次回で、糖尿病性腎症の漢方治療総論を一通り述べますが、方剤(生薬の組み合わせ)のほとんどは保険適応外です。なるべく保険の効きそうな基本方剤の加減を述べるつもりです。

さて、一方の西洋薬に話題を移せば、

降圧剤のバルサルタン(ディオバン)の臨床データ捏造事件、火の手は収まりそうもありませんね。学会の著明な教授らも製薬会社と同じ穴の狢(むじな)であることが、バレバレになったのにも拘わらず、誰も責任をとろうとしないのは、福島原発事故と同じで、責任者が言い逃れに徹すると同じです。どちらも人命にかかわることです。

原発村、学会村の如き村人(むらびと)の言は信用ならずということです。

権威に弱いのが庶民の性(さが)、捏造データにさらに無防備なのが開業医です。

私は西洋医として、40mg錠、80mg錠どちらのユーザーでもありますが、何の説明もいまだに有りません。私が村人でも、村で飼育している犬猫のペットでも、どちらでもないからでしょう。村八分の状態。「だんまり」を決め込んでいる利権屋に「貢(みつぐ)だけの植民地の労働者」です。

中医案とて捏造を眼にします。村社会でぬくぬくと生きていくのは(娯)楽ですよ。

201378日(月) 記