管竟?氏医案 陰虚火旺案(河北中医2003年 第8期より)
患者;13歳女児
就診日:1966年4月
就診所見:面四肢浮腫3ヶ月、胸腹張満を自覚、食少納呆、便溏四肢浮腫、舌淡紅、苔薄白、脈緩。血圧142/75mmHg、腹腔に液体貯留(腹水)、尿蛋白(3+)
診断:原発性ネフローゼ症候群(脾腎気虚型)。
経過:
プレドニゾン45mg、中薬は益気健脾、利水消腫。
薬用:黄耆、党参各20g 白朮 茯苓 赤小豆 澤瀉 車前草各10g 麻黄 桂枝 仙茅 淫羊藿8g 水煎服用 日に1剤
服薬5日で浮腫が漸退。
コメント:麻黄連翹赤小豆(連翹の配伍なし)、五苓散(猪苓の配合はなし)仙茅、淫羊藿の配合などを見ると、管氏の初診時は脾腎陽虚っぽい水腫症例という印象があったのでしょう。ところが、
ステロイド服用3週後で、患者次第に面赤、精神的には興奮し多語となり、五心煩熱、夜寝不寧、動則汗出、口干咽燥、食欲増加、紅舌少苔、脈細数。
コメント:やはりステロイド剤の副作用、陰虚火旺が出てきましたね。そこで、
証は陰虚火旺に属する:として管氏は以下の処方に変えた。
薬用:太子参30g 黄耆15g 白芍12g 当帰 知母 生地 熟地 黄芩 黄柏各10g 黄連5g 女貞子 旱蓮草各15g 澤瀉 車前草各10g、水煎服用 1日1剤。
服用1週で諸症軽減、プレドニゾンと中薬併用治療1ヶ月で尿蛋白は陰転し、臨床症状は消失した。
退院後に外来でステロイドは漸減した。プレドニソンは隔日20mgまで減量した。
中薬は前方から、黄連 黄柏 知母を去り、山薬 山茱萸 白朮を加え。ステロイドの減量のあわせ、逐次段々と、淫羊藿、莵絲子など温腎健脾薬を加えた。
1997年7月ステロイドは停止した。患者は基本的にステロイドのクッシング様の副作用は出現しなかった。尿、血液検査再検で異常なく、随訪4年再発なし。
評析
腎臓病の患者は大量、長期にステロイドを運用した後、初期には白血球数の増加、精神の興奮、食欲の亢進、面色潮紅、中心性肥満と汗出、舌紅脈細数などの副作用が出現し、中医弁証からは陰虚陽亢の証が見て取れる。
ステロイド剤は温陽薬に似て、温薬を使用しすぎると津液の耗傷となり、陰虚陽亢になり、病の後期には陰虚が慢性化すば、耗気となり気陰両虚の像も現れる。当帰六黄湯は滋陰清熱、瀉火清熱、益気固表等の法を一方に集めたものであり、故にステロイドの副作用に対しては両者(陰虚陽亢、気陰両虚)の病機と符合するものである。
ドクター康仁の印象
当帰六黄湯はその名の如く、当帰 生地黄 熟地黄 黄芩 黄柏 黄連 黄耆の6薬からなります。李東垣の「蘭方秘蔵」が出典です。
君薬は-当帰:育陰養血、生地黄:育陰養血、清内熱 熟地黄:育陰養血
臣薬は-黄芩:瀉火除煩 黄柏:瀉火除煩、清熱堅陰 黄連-瀉火除煩
佐薬が-黄耆:益気固表
陰虚火旺の際の内熱を清して、盗汗(寝汗)を止めるというのが原方意であったそうですが、ネフローゼ症候群のステロイド副作用の防止にもなるのです。
本案の最初の方薬はやや乱れを感じますが、次の処方の流れでは、平の党参が太子参に変更されたり、養陰血の白芍(おそらくは斂陰の意味)は加味されたり、養陰剤の二至丸(女貞子、旱蓮草)が加味、瀉火清熱潤燥の知母の配伍、それで、澤瀉、車前草を加味しても傷陰にならず、陰虚火旺が収まった後に補腎薬の淫羊藿を配伍していくというのは、頭がよく整理されている中医ですね。私なら、2回目の処方から菟絲子は入れてしまいやすいのですが、というのは、薬性が平でも、やや温のイメージが有りますが、他の養陰血滋陰清熱薬で莵絲子のやや温のイメージは打ち消されると思うからです。
本案の主旨は、ネフローゼ症候群のステロイド剤の副作用の防止に中薬は有効であり、副作用の発現を見ることなく、中薬治療を併用すれば、ステロイド剤の減量から離脱まで再発しないでネフローゼ症候群は治癒する可能性が高い。ということです。
医薬品の臨床効果改ざんは多いですね。またまた
小林製薬の絡んだ臨床治験データのお粗末な改ざん事件が発覚しましたね。
身長を改ざんして肥満度を変化させるとは!
医者は人間を弱者と見がちで、警察は人を悪者と見がちで、製薬会社は庶民を権威に弱い愚か者と見なす也や。
一方、現実は程度の違いで、恥知らずな姑息な庶民もいます。
小生オリジナルのタイトルを勝手に自分のブログに盗用する「アフィリエイトで稼ぎたい恥知らず」が現実にいます。知人の警察関係者が見つけて教えてくれました。
ネフローゼ症候群の漢方治療 医案12 腎炎、腎不全の漢方治療140報
小生が本年6月7日にアップした記事です。
なんと、即同日に「ネフローゼ症候群の漢方治療 医案12 腎炎、腎不全の漢方治」とタイトルをそのまま盗用した「恥知らずのサイト」が以下。
http://harikitte112.seesaa.net/article/365476824.html
記事内容は小生のタイトルと全く無関係。
署の連中もよく見つけたものだと感心しました。そういう専門のグループがあるんでしょうね。
さても、警告する也。
大いに迷惑、ドクター康仁の著作権侵害にもなることを、知らないとは言わせない。
タイトルを盗用し続ける宣伝記事は姑息の一言、「アフリで稼ぐマニュアル」なのかもしれませんね。
2013年7月3日(水) 記