「天上天下唯我独尊」 (てんじょう てんげ ゆいが どくそん)
というおシャカ様のお言葉があります。
私たち一人一人は差異のある存在です。
全世界の人口は七十三億人といわれていますが、私たち一人一人は他と比較することが出来ない、かけがえのない唯一人の存在です。
本当に自分の性(しょう)を見れば、何もないということが分かります。
時間、場所、距離もないのが「道」です。
本来、私たち衆生は 「道そのもの」 であり 「今の自分自身が道」 であるという事です。
ですから、修行の結果、「道」 が分かりましたというのは、本当ではありません。
「花を見て花を見ず」 という教えがあります。
説明を加えると、ここに花があるとします。
花を見た瞬間には花でも何でもありません。
花は見えませんし、色も分かりません。
自分の好みに合う合わないという感情も何も、最初は起きません。
ほんのわずかの間に九百回もの生滅があると仏教では説いています。
人間 (にんげん) の目ではとてもその変化を見ることは出来ません。
一切のものが何時も同じ状態であるということが ない ということです。
ところが、花を見た一瞬に自分の考えというものが働いて、この花とは全く関係なく、自分の判断材料の花、と見てしまうのです。
そして、次から次へと花とは無関係な感情が出てくるのです。