修行の結果、一応の其の人なりの苦しみから離れることが出来たとしても、
これで「菩提を成就した」ということにはなりません。
苦しみから離れてすっかり安心しました、というような状態になる人は
非常に多いと思います。
しかし、数日数年過ぎると、また同じような苦しみが出て来るものです。
これは本当に「自分というものが無くなっていない」からなのです。
「楽」になろうと思って出発した修行ですから、「苦」が無くなると、
もうそれで終わって今度はその「楽」が「苦の種」になります。
このことを説明して下さる指導者がなかなかいないために、「楽になった、
もうこれで私の修行は終わったのだ」というような誤った考えを起こすのです。