鳩山由紀夫首相(宇宙人)は、3月4日に「今月中には、普天間基地移転先を政府案としてまとめる」と記者会見で語り、その後も数回「3月いっぱいには政府案を当然まとめる」と繰り返した。
沖縄県の人々は勿論、多くの国民はこの難しい問題を3月中にどう捌(さば)くのか、期待を持って見ていたと思う。
ところが、3月29日の記者会見で、首相は「今月中で無ければならぬと法律で決まっているわけじゃない」と述べて、政府案を示さなかった。3月31日の国会党首討論では、腹案は既にあると答えるのみだった。
どうやら「綸言汗の如し」の格言は、この人物には通用しないらしい。
私は、母親からの高額資金供与を「知らなかった」で押し通し、結果的に脱税していたことについて、鳩山首相の倫理観を疑った。それに加えて、今回の政府案の問題だ。我が国行政の最高責任者がこんな行為を続ければ、子ども達に善悪の意味を教えることも出来なくなるのではないか?
約束事を期日までにきちんと守る、それが出来なければ理由を述べて、潔く責任を取る姿勢が必要なのは言うまでもない。権力者であればなおのこと、それを率先実行しなければいけないはずだ。「法律で決まっているわけじゃない」と言うのは、自分が言い出しておきながら実現出来なかったことへの完全な言い逃れである。これは、道徳そのものの問題なのだ。
普天間基地移転問題は、13年掛けて歴代政権が米国と協議の上決めたことである。すなわち、国と国の間の厳粛な約束である。政権が代わったからと言って、これを反故にすることは、国家間の信義を失うだろう。
国民の政治に対する不信感は、今年になって益々増大して来た。私自身は、鳩山連立政権に期待するものは何も無いのだが、昨今の政治倫理の喪失状態を見る時、我が国から道徳観が薄らぐのではとの大きな危惧を抱いている。
【産経抄】3月31日2010.3.31 03:20
「宇宙人」という鳩山由紀夫首相のあだ名は、世間ですっかり定着してしまった。独特の風貌(ふうぼう)といい、常識人には理解し難い言葉の軽さといい、まことにぴったりで命名者に敬意を表したいが、最近の首相の言動を聞いていると、「バカボンのパパ」と呼びたい衝動にかられる。
▼43年前に連載が始まった赤塚不二夫のギャグ漫画「天才バカボン」の主人公であるパパは、世間のルールをはみだしてママやお巡りさんに叱(しか)られるたび「国会で青島幸男が決めたのか?」と開き直った。当時、青島氏は参院議員だったが、国会で議決した法律に規定がないことは何をしてもいいんだ、というのがパパの考え方なのだ。
▼首相は、米軍普天間飛行場移設の政府案をまとめる時期について「今月中じゃなきゃならないと法的に決まっているわけじゃない」と言い出した。きのうは「1日、2日、数日ずれることが何も大きな話ではない」とうそぶいた。
▼確かにそんなことは、国会で青島幸男が決めたわけではないが、数日前に「今月中に決める」と大見えを切ったのはどこの誰だったのか。せっかく岡田克也外相が米国務長官と会ったのに、突っこんだ話ができないとは、政治主導が泣く。
▼元秘書が、偽装献金事件で罪を認めても「何も報告を受けていないので、何も知らなかったのだ」と首相はバカボンのパパのような言い訳で通した。これで本人が起訴も追徴課税もされないのだから、現実はギャグ漫画をはるかに超えている。
▼そんな首相も「私という政治家がいなければ、秘書もこのようなことを犯さないですんだ」と正気に戻ることがあるらしい。何事も「賛成の反対なのだ」と決断できない首相を「これでいいのだ」と国民が支持するわけがない。
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100331/plc1003310320002-n1.htm
鳩山首相の「友愛」は、オーストリアのリヒャルト・クーデンホーフ=カレルギー(1894-1972)によるfraternity 概念から来ていると思うが、これは殆ど宗教に近い考えである。現実政治からすれば、妄想と言っても良いと思う。それに基く立論は妄論(モーロン)の性格を帯びる。
妄論は、独りよがりの身勝手な内容だが、緻密なものもあれば幼稚なものも多い。鳩山首相の「友愛の海」とか「温暖化ガス25%削減」は、現実離れした稚拙な妄論であり、このような幼稚な話をする人間を英語では moron と呼ぶ。一般には、小学生並みの考え方しか出来ない成人を指し、精神分析分野では「愚鈍」とか「魯鈍」と訳される。
沖縄県の人々は勿論、多くの国民はこの難しい問題を3月中にどう捌(さば)くのか、期待を持って見ていたと思う。
ところが、3月29日の記者会見で、首相は「今月中で無ければならぬと法律で決まっているわけじゃない」と述べて、政府案を示さなかった。3月31日の国会党首討論では、腹案は既にあると答えるのみだった。
どうやら「綸言汗の如し」の格言は、この人物には通用しないらしい。
私は、母親からの高額資金供与を「知らなかった」で押し通し、結果的に脱税していたことについて、鳩山首相の倫理観を疑った。それに加えて、今回の政府案の問題だ。我が国行政の最高責任者がこんな行為を続ければ、子ども達に善悪の意味を教えることも出来なくなるのではないか?
約束事を期日までにきちんと守る、それが出来なければ理由を述べて、潔く責任を取る姿勢が必要なのは言うまでもない。権力者であればなおのこと、それを率先実行しなければいけないはずだ。「法律で決まっているわけじゃない」と言うのは、自分が言い出しておきながら実現出来なかったことへの完全な言い逃れである。これは、道徳そのものの問題なのだ。
普天間基地移転問題は、13年掛けて歴代政権が米国と協議の上決めたことである。すなわち、国と国の間の厳粛な約束である。政権が代わったからと言って、これを反故にすることは、国家間の信義を失うだろう。
国民の政治に対する不信感は、今年になって益々増大して来た。私自身は、鳩山連立政権に期待するものは何も無いのだが、昨今の政治倫理の喪失状態を見る時、我が国から道徳観が薄らぐのではとの大きな危惧を抱いている。
【産経抄】3月31日2010.3.31 03:20
「宇宙人」という鳩山由紀夫首相のあだ名は、世間ですっかり定着してしまった。独特の風貌(ふうぼう)といい、常識人には理解し難い言葉の軽さといい、まことにぴったりで命名者に敬意を表したいが、最近の首相の言動を聞いていると、「バカボンのパパ」と呼びたい衝動にかられる。
▼43年前に連載が始まった赤塚不二夫のギャグ漫画「天才バカボン」の主人公であるパパは、世間のルールをはみだしてママやお巡りさんに叱(しか)られるたび「国会で青島幸男が決めたのか?」と開き直った。当時、青島氏は参院議員だったが、国会で議決した法律に規定がないことは何をしてもいいんだ、というのがパパの考え方なのだ。
▼首相は、米軍普天間飛行場移設の政府案をまとめる時期について「今月中じゃなきゃならないと法的に決まっているわけじゃない」と言い出した。きのうは「1日、2日、数日ずれることが何も大きな話ではない」とうそぶいた。
▼確かにそんなことは、国会で青島幸男が決めたわけではないが、数日前に「今月中に決める」と大見えを切ったのはどこの誰だったのか。せっかく岡田克也外相が米国務長官と会ったのに、突っこんだ話ができないとは、政治主導が泣く。
▼元秘書が、偽装献金事件で罪を認めても「何も報告を受けていないので、何も知らなかったのだ」と首相はバカボンのパパのような言い訳で通した。これで本人が起訴も追徴課税もされないのだから、現実はギャグ漫画をはるかに超えている。
▼そんな首相も「私という政治家がいなければ、秘書もこのようなことを犯さないですんだ」と正気に戻ることがあるらしい。何事も「賛成の反対なのだ」と決断できない首相を「これでいいのだ」と国民が支持するわけがない。
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100331/plc1003310320002-n1.htm
鳩山首相の「友愛」は、オーストリアのリヒャルト・クーデンホーフ=カレルギー(1894-1972)によるfraternity 概念から来ていると思うが、これは殆ど宗教に近い考えである。現実政治からすれば、妄想と言っても良いと思う。それに基く立論は妄論(モーロン)の性格を帯びる。
妄論は、独りよがりの身勝手な内容だが、緻密なものもあれば幼稚なものも多い。鳩山首相の「友愛の海」とか「温暖化ガス25%削減」は、現実離れした稚拙な妄論であり、このような幼稚な話をする人間を英語では moron と呼ぶ。一般には、小学生並みの考え方しか出来ない成人を指し、精神分析分野では「愚鈍」とか「魯鈍」と訳される。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます