陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

若いウィグル人女性が航空機テロ未遂?

2008-03-12 06:49:26 | チベット・ウィグル関係
 共産党の厳しい監視と過酷な行政支配下にあるウィグル自治区で、航空機テロを企図した犯人が未遂のまま捕らえられたとの報道。航空機破壊を狙ったと説明されているが、犯人は単に騒動を起こすのが狙いだったのだろうか。

中国・自治区で航空機テロ未遂、五輪破壊狙う組織も摘発

 【北京=杉山祐之】中国新疆ウイグル自治区の王楽泉・共産党委員会書記らは9日、北京で記者団に、3月7日に自治区を離陸した国内線旅客機でテロ未遂事件が発生したと明らかにした。

 王書記らはさらに、自治区治安当局が今年1月27日、「北京五輪の破壊を図っていた」とみられるテロ組織拠点を摘発し、2人を射殺したと述べた。

 新華社電などによると、旅客機は、自治区の区都ウルムチを7日午前10時35分(日本時間同11時35分)に出発した北京行きの中国南方航空機。「何者かが飛行機を破壊しようとした」ことから、同機は午後0時40分に甘粛省蘭州に緊急着陸。犯人は乗員らに取り押さえられたとみられ、現在、蘭州で拘束中という。乗客乗員にけがはなかった。自治区当局者は「調査中」だとして事件の詳細を明らかにしていない。

 1月のテロ組織摘発では、治安当局がウルムチの拠点を制圧し、射殺した2人のほか、15人を拘束したという。王書記は、「テロリスト」らがパキスタン、アフガニスタンを拠点に、自治区の分離独立を目指すテロ組織によって訓練されていたと語った。
(2008年3月10日01時06分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20080310-OYT1T00078.htm


 その後、犯人は10代のウィグル人女性2名と報道が続く。若い命を散らしてまで、彼女達は中共支配に抵抗しようとしたのだろうか。それにしても、手荷物でガソリンを機内へ持ち込めるのかどうかの疑問が付きまとう。女性なら、化粧品のビンに詰める事も考えられるが、持ち込み液体検査は何処も厳格なはずだ。産経新聞によると、

「犯人はウイグル族の女性」中国紙が航空機テロ未遂で
2008.3.11 12:28

 11日付の中国紙、新京報は、中国で7日に起きた航空機テロ未遂事件の犯人はウイグル族の女性らだったと伝えた。

 北京行きの旅客機が新疆ウイグル自治区ウルムチを離陸後、機内でスチュワーデスがガソリンのにおいに気づき、トイレで引火させようとした2人を乗務員が拘束。甘粛省蘭州市の空港に緊急着陸した。

 ガソリンを所持していたのは、18~19歳のウイグル族の女性らだったという。

 警察当局が犯行の動機などを調べているが、同自治区トップの王楽泉・共産党委員会書記は9日の記者会見で、犯人がウイグル独立運動に関与している可能性を示唆していた。
http://sankei.jp.msn.com/world/china/080311/chn0803111225001-n1.htm


 若いウィグル女性に対する中共政府の民族浄化策は、既にこのブログでも紹介したが、将に過酷そのものである。前途に絶望感を抱き、祖国のためになるならと中共攻撃に参加する若い女性達の気持ちが分からないでも無い。

 だが、温和なウィグル民族、しかも女性がそこまで踏み切るのかどうか私には疑問である。もし成功していたとしても、多くのウィグル人乗客が同時に巻き添えの犠牲になってしまうではないか。

 腑に落ちないでいたら、この件に関するラビア・カーディル女史のコメントがあった。これは、ウィグル自治区共産党委員会の捏造と言う説明だ。

ウイグル人権活動家、「テロ計画阻止は中国当局のねつ造」
2008年03月11日 11:46 発信地:ワシントンD.C./米国

【3月11日 AFP】ウイグル人の人権活動家、ラビア・カーディル(Rebiya Kadeer)氏(61)は10日、新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)で北京五輪などを狙った攻撃計画を阻止したとの中国当局発表について、「中国側のねつ造だ」と亡命先の米国で語った。

 中国政府は9日、同自治区の区都ウルムチ(Urumqi)で計画されていた北京五輪攻撃計画を阻止するための急襲作戦を1月に展開し、武装組織のメンバー2人を殺害、15人を逮捕したと発表。また同自治区当局も7日、中国南方航空(China Southern Airlines)のウルムチ発北京行き旅客機が7日、「テロリストによる攻撃」を受けたが、当局によって阻止され未遂に終わったと明らかにしている。

 これらの発表について、アメリカウイグル協会(Uyghur American Association、UAA)を率いるカーディル氏は「全くのでっちあげで、テロ攻撃を偽装しウイグル人の抑圧を意図した中国当局の陰謀だ」と通訳を介してAFPに語った。同氏のコメントについて米国は公式な声明を出していない。

 カーディル氏は、中国で1999年から6年間、「国家安全危害罪」の罪で服役した後、2005年3月に釈放され、先に米国に亡命していた夫の後を追って米国に渡り亡命が認められた。以後、ウイグル独立を掲げる国際組織「世界ウイグル会議(World Uighur Congress 、WUC)」を設立し、中国当局のウイグル自治区における人権抑圧を訴える活動を続けているが、32歳と30歳の息子は中国で身柄を拘束されたままだ。同氏はノーベル平和賞の候補となったこともある。

 中国政府は新疆ウイグル自治区の独立を求める「東トルキスタン・イスラム運動(East Turkestan Islamic Movement)」を同自治区に対する最も深刻な脅威とみなしてきた。国連と米国も同団体をテロ組織に指定している。
 
 新疆ウイグル自治区の住民の多くはテュルク語を話し、イスラム教を信仰するウイグル人で、60年にわたり抑圧されてきたとして中国に反感を持つ住民が多い。

 中国はカーディル氏の活動に遺憾の意を示してきた。特に、前年6月に開催されたチェコ政治亡命家会合の一環でジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)米大統領が同氏と面会した際には激しく反発した。(c)AFP
http://www.afpbb.com/article/politics/2362620/2722709


 私は、カーディル氏の中共による捏造説を重く見たい。それは、「段ボール肉まん事件」、「毒餃子事件」などと根底において共通するシナ人為政者の独善的捏造体質を強く感じるからだ。戦前では「田中上奏文事件」、戦後は「南京虐殺」宣伝に象徴されるように、彼らのDNAが自然な形でそうさせるのだろう。

 3月5日から北京で開かれている全大中(中共の国会に相当)で、ウィグル自治区共産党委員会の王楽泉委員長が自らの業績を誇示するため過激ウィグル人の連続摘発を行ったとする解釈が可能だ。王委員長は、1990年頃から18年間もその地位にあり、絶大な地域権力を維持している。

 胡錦濤総書記は、1989年にチベット自治区共産党委員会の責任者として残虐非道な住民弾圧政治を行い、多くのチベット人犠牲者を出した。第二次天安門事件(1989)の民衆団結に恐れ慄(おのの)いた小平氏は、若い胡錦濤氏にこの上なく高い評価を与え、中央へ呼び寄せて江沢民氏の後継者とした。

 こうした経緯を踏まえて、王楽泉委員長は中央政府に対し自らの実績を誇示しようと、<北京五輪>に絡ませたウィグル人独立運動弾圧を図ったのではないか。私は、中共による宣伝報道の背景に横たわる事実を慎重に考えるようにしたいと思う。

(追記:3月12日)

 次の記事を見つけて、この事件が益々捏造事案と感じるようになった。

「新疆の社会は安定」 中国領ウイグル族代表が強調
03/10 23:08更新

 中国で開会中の全国人民代表大会(全人代)代表となっている少数民族8人が10日、北京で記者会見し、新疆ウイグル自治区ウルムチ発の旅客機テロ未遂事件に絡み、ウイグル族の代表が「新疆の社会は安定している」と述べ、ウイグル独立派の行動は抑え込まれていると強調した。

 またチベット民族の代表が「(チベット自治区と青海省を結ぶ)青蔵鉄道が完成し、特に学生たちにとってとても便利になった」と指摘。他の民族の代表も「中国が経済発展し、少数民族地区も発展した」と声をそろえるなど、政府評価に終始した。(共同)
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/128884/
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« もし「中華帝国」が瓦解する... | トップ | ダライ・ラマ法王が<北京五... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

チベット・ウィグル関係」カテゴリの最新記事