陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

ルイジアナ沖原油流出事故の封じ込めに失敗

2010-06-01 00:10:21 | 米国関係
 4月20日に起きたメキシコ湾ルイジアナ州沖の原油流出事故は、当事者のブリティッシュ・ペトロリアム(BP)が噴出井戸上に鋼鉄製ドームを被せて原油を抜き取る方法を試みたが失敗、次に、油井噴出孔へヘドロを入れ、コンクリートで固める方法を採用したが、1500mの深海作業のため、これも失敗した。

 原油は、なおも噴出を続け、先行き見通しが立たない。ルイジアナ沖の海面には、油面が広がり、フロリダ半島まで到達しつつある模様。流出孔は3箇所と言われていたが、7箇所との情報も流れている。

 オバマ大統領は、一度現場視察に訪れ、損害の全責任をBPに負わせることとした。既に損害額は360億円を超えている。しかし、オバマ大統領は軍や沿岸警備隊による海面囲い込み作戦を指示したものの、それ以外に民間協力を喚起して原油回収を呼びかけるべきでないのか?原油流出事故が始まってから、オバマ氏は2回休暇を取り、また、5月31日の<メモリアル・ディ>(戦没将兵追悼記念日;休日)にも欠席、恒例で大統領が行うアーリントン墓地の献花をサボった。

 ブッシュ前政権は、ハリケーン<カトリーナ>の対策で評判を落としたが、オバマ政権はこの流出事故の処置で米国民から批判を浴び始めた。それは、11月の中間選挙に直接響くことであろう。メキシコ湾沿岸地方の経済的打撃は極めて大きく、州民たちも不安に刈られている。何よりも、環境破壊レベルは甚大で、対策を急がないとカリブ海は「死の海」になってしまうのではないか。


メキシコ湾原油流出、封じ込め失敗で早期解決は困難に
2010年 05月 30日 12:03 JST

[ベニス(米ルイジアナ州) 29日 ロイター] メキシコ湾の原油流出事故で英石油大手BPは29日、流出を阻止する新たな作業「トップキル作戦」が失敗したと発表した。

 BPのヘイワード最高経営責任者(CEO)は、油井に泥状の物質を流し込み、セメントで原油流出を封じ込める今回の作業について、深海での試みは初めてであり、成功率は60─70%としていた。

「トップキル作戦」が不成功に終わったことで、既に40日目を迎え米国史上最悪となった今回の原油流出事故の早期解決は望みが薄くなった。2005年のハリケーン「カトリーナ」で受けた痛手からの回復途上であるメキシコ湾岸地域社会にとっては大きな打撃であり、野生生物や漁業への影響も懸念されている。

 オバマ米大統領は28日に事故発生後2回目の現地視察を行ったが、政権の事故対応への批判も国民の間で強まりつつある。
http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPJAPAN-15574220100530?rpc=122


 ウォール・ストリート・ジャーナルは、新たな「原油吸い上げ作戦」を紹介しているが、BPの担当者はこの方法に自信が無いようだ。


BP、「トップキル」失敗で新たな原油流出阻止作戦へ
2010年 5月 31日 10:00 JST

 英メジャー(国際石油資本)のBPが権益を持つルイジアナ州沖メキシコ湾深海油田からの原油流出事故で、同社は30日、流出阻止のため油井に泥を注入する「トップキル」作戦が失敗に終わったことから、破壊された掘削パイプを切断しふたをした上で原油を吸い上げる「LMRP」作業に着手することを明らかにした。

 ただ、BPはこれまで深海でLMRP作戦を実施したことがなく、同社のダドリー執行副社長(米国・アジア担当)は同日、フォックス・テレビの番組で、この作戦が成功するかどうか「まったく確信が持てない」と述べた。ただ、この作戦で原油流出が加速することはないと思うと指摘した。LMRP作戦は4~7日間実施される見通し。

 一方、ブラウナー米大統領補佐官(エネルギー・気候変動問題担当)はNBCテレビとのインタビューで、8月に完了する見通しの別の坑道を掘削する「救助井」設営作戦を除き、BPが実施する流出阻止作業がすべて失敗に終わった場合を想定して、政府は準備を進めていると語った。同大統領補佐官はまた、CBSテレビの番組では、政府の専門家らはLMRP作戦で、ねじれたパイプを切断するため逆に原油の流出量が4~7日間20%増大する恐れがあるとみていることを明らかにした。

 原油の流出は推定で日量1万2000~1万9000バレルに上っており、1989年のアラスカ州沖での原油タンカー、バルディズ号座礁事故を上回る米史上最悪の原油流出事故になっている。BPはトップキル作戦に大きな期待を寄せていただけに、これが不調に終わったことは同社にとって大きな打撃となった。

 ルイジアナ州沿岸部の住民は、原油流出が早急に阻止されなければ、経済上・環境上の被害がさらに拡大すると不安感を高めており、議会からはBPへの不信の声が強まっている。

記者: Stephen Power and Mark Long
http://jp.wsj.com/Business-Companies/node_65987


(参考)

 ルイジアナ沖(メキシコ湾)の原油流出事故は見通し立たず
http://blog.goo.ne.jp/charotm/e/5f42d8f2a27b2343b7bccbda99e3227d

 米国南岸の海底油田、原油流出事故が深刻化
http://blog.goo.ne.jp/charotm/e/ff2d1298b443c53a325faec7f1c3951d

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