Ed's Slow Life

人生終盤のゆっくり生活をあれやこれやを書き連ねていきます。

本物の勇気

2014年08月25日 | Weblog

                   

去年(2013年)の6月、元CIA職員エドワードJスノーデン氏が一時滞在先の香
港で英ガーディアン紙のインタビューを受けた時のニュース・ビデオ(Democracy 
Now収録15分)を観て、改めて彼の命を賭した勇気に敬服させられた。


最初このニュースが流れたとき、米国が暗号名PRISMで行っていた「盗聴」がこ
れほど大掛かりで人々の自由を奪う恐れが高い危険な行いであるか、ということ
よりも同盟国の首脳まで盗聴対象にしていた、という事実のほうが大きく扱われ
ていたから、一体何故彼が国家を敵にまわしてしてまで危険な内部告発に踏み
切ったのか理解できなかった。


彼がそれまでCIA職員として与えられていた、恵まれた生活の全てを投げ打って
内部告発に踏み切った訳は、国が膨大な予算を使って誰の許しをも得ず、秘密
裏にあらゆる個人情報を集めている、というのは国家の犯罪行為であり、その
ような仕事に自身も加担していることにも疑問を感じるようになったからであり、
5年先10年先には、政府や国にとって都合悪い人間がいれば、過去のデータ
を改ざん、悪用して犯罪者に仕立てることだって出来る・・・と恐れたからである。
つまり彼は米国の国家倫理ということに危惧を抱いたのであり、国民一人ひとり
に考えて欲しいと願ったのである。


中国やロシアを利する為だとか金儲けではないか、といったネガティブ・キャン
ペーンも即座に出てきたけれど、メディアを通じて自分の立場を明確にし正直に
説明することによって鎮静化してしまった。米国を困らせることが目的ではなく、
米国が秘密裡に集めたこれら膨大なデータを悪用して、将来独裁政治が行われ
るような事態も起こりうる。今こそで米国民と世界中の人々に知って欲しい・・・と
いうのが彼の真意であるらしい。


米国のこのような同盟国まで含めた際限のない諜報活動に対して、ドイツもフラ
ンスも不快感を露わにしているのに対して、安倍内閣は「米国内の問題だ」と事の
重大性を全く認識できていない、薄バカなコメントを出したのみである。


尤も、時代錯誤の特定秘密保護法などを成立させて、情報開示どころか増々情報
を秘匿するつもりの反動内閣であってみれば、手本にでもするつもりかも知れない。


                                             

行動に倫理・規範を要求されるのは、何も個人だけに限ったことではない。それど
ころかあらゆる団体、企業、組織に要求されていることであり、国だって当然倫理
は要求されているのだ。国がやることなら無制限に何でもやってよい、等というこ
とはあり得ない。その意味で今回の米CIAの諜報活動は行き過ぎであり、糾弾さ
れて当たり前だ。


日本のマスコミはスノーデン氏を”容疑者”扱いしているけれど、CIAにとっては”機
密漏洩の容疑者”ではあっても日本にとっては、容疑者でも何でもない。