Ed's Slow Life

人生終盤のゆっくり生活をあれやこれやを書き連ねていきます。

人材派遣

2013年04月26日 | Weblog

                  

Edが大学に通っていた昭和35年頃は、建設現場で働く日雇い労働者は、東京
では南千住辺りに数多くいて、毎朝その日の仕事を求めて、人集めのトラックを
待っている労働者の姿をバス停で見ていた。

彼等の住む簡易宿泊所は(確か)一泊2~300円程度で2段ベッドが並ぶ蚕棚
みたいな施設だった。一日働いて稼いだ1500~2000円は、宿泊費と食事代
と焼酎の支払であらかた無くなってしまう。地方から出稼ぎで来ている人は、そ
の中からいくばくかを貯金して家族に仕送りしなければならない訳だから、途中
で挫折してしまい、故郷に戻れなくなったりする人は幾らもいた。

景気が良い時は、仕事も多いし賃金も上がるから日雇いでも、多少は収入は増
えるけれど、哀しいかな一旦身に付いたその日暮らしの習性はなかなか抜けず
、貯金して不況に備えようとか、日雇い仕事から早く抜け出そう・・・などという意
欲に繋がるひとは少ない。

当時3Kといわれた建設現場作業のような仕事は、路上生活一歩手前の人や
地方の出稼ぎ労働のひとが殆どで、大多数は社員として企業に雇われ、月給
を貰うサラリーマンだったから、その積りさえあれば、大なり小なり生活設計の
目途は立てられた。

やはり、労働力だけを切り売りするような日雇い仕事は、人生の計画性を失わ
せ、ひいては生活そのものを怠惰で荒れたものにしてしまうのだ。

                                    

自民・小泉政権以降、人材派遣業は大幅に増え、今や野放し状態である。
かつては人材派遣といえば、企業の女性秘書や経理・事務担当の女性社員
の職場だけだった。今では工場の単純作業は云うに及ばず、難しい専門技術
職や販売員まであらゆる分野に派遣業が広がってしまった。

「派遣業」なんていうのは、個人の働きをピンハネして不労所得を稼いでいる
悪徳商人と同じで、本来公に認められるべき類の「稼業」ではない、とEdは思
っている。

勤務先の倉庫会社でも正社員の数は極めて少なく抑えてあり、あとは派遣
会社から必要に応じた人数だけ雇い、安い時給で働かせている。当然のこと
ながら、仕事に誇りや意欲が持てる環境でもないし待遇でもないから、折角
来ても長続きしない。

雇う方もいい加減なら雇われる人も無責任な人が多く、何の事前連絡もなく、
いきなり来なくなったり、辞めたことすら云わずに消えてしまったりする。
何とも荒んだ人間関係ではないか・・・

身近にこういう良くない労働環境と、荒んだ心で働く人間をみていると、日本
という国は、もう滅びつつあるのだと思えてくる。利益追及だけに血眼になり、
人の心を踏みにじっても意に介さない企業、そして他人のこと等どうなろうと
知ったことではない個人・・・

いよいよ日本は崩壊し始めたのだ!