現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

ワジム・フロロフ「愛について」

2020-09-14 18:16:23 | 作品論

 1966年にソ連で書かれた作品ですが、日本語には1973年に翻訳されたので、1978年ごろに児童文学のタブー(性、離婚、家出、自殺など)の崩壊が議論された時に、盛んに引き合いに出されました。
 性への目覚め、最愛の美しい母の駆け落ち、それに対する尊敬していた父の無力化、母のことを同級生に侮辱されて爆発した暴力事件による退学などを、主人公の14歳の少年は短期間に体験します。
 飲酒による父とのいさかい、家出において恋人とキスする母親の目撃などを通して、精神的な「親殺し」を経て、一人の人間として生きていくことを決意する少年の姿が描かれています。
 翻訳があまりうまくないので読んでいてかなりいらいらしますが、私の読んだ本は1996年で18刷なので、少なくとも90年代まではかなり読まれていたのではないでしょうか。

愛について
クリエーター情報なし
岩波書店
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