この章では、ポール・アンダースン「アーヴァタール」とジェイムズ・P・ホーガン「創世記機械」に出てくる、究極の人間とコンピュータを結びつける方法、脳波やテレパシーを使うやり方について解説しています。
残念ながら、現在においてもこうしたインターフェースは実現しておらず、その理由はこの本でも書かれているように、人間の脳がコンピュータで解析するには桁外れに複雑なことがあります。
このギャップを埋めるために、SFではコンピュータに理解できるような脳波を出せる人間が登場します。
しかし、最近実験に成功したと言われる桁外れの計算能力を持った量子コンピュータが実現し、さらに身に付けられるほど小型化されれば、普通の人間でもコントロールできるものが実現されるかもしれません。
さて、この本が書かれた時点での最高のマン・マシン・インターフェースとして紹介されているMITのメディア・ルームは、椅子に座ったままタッチ・パネルやジョイ・スティックを使って、映像を見たり、本をめくったり、電卓、テレビ、電話などを使えるというものです。
ご存じのように、インターネットや携帯電話通信網やスマホや電子書籍の実現で、現在では遥かに高度なことができる環境を持ち運べるようになっています。
これを支えているのは、コンピュータや通信技術の進歩なのですが、その背後には他の記事でも書いたような半導体技術の驚くべき進歩があります。
なにしろ、このメディア・ルームを実現するためにスーパー・コンピュータ四台と周辺機器十台が必要だったのです。
しかも、スーパー・コンピュータのメモリ容量はたった512キロバイト(メガですらない)です。
今では、この一万倍以上のメモリがスマホの中に入っています。
当時の優秀なソフト・エンジニアの指標のひとつが、いかに少ない行数(必要なコンピュータのメモリ容量に比例します)でプログラミングできるかだったのも想像していただけるでしょう。