現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

青山文平「つまをめとらば」つまをめとらば所収

2018-08-16 08:40:10 | 参考文献
 直木賞を受賞した短編集の表題作です。
 ひょんなことから二人暮らしを始めた、幼馴染ですでに隠居している老武士たちの姿を描いています。
 この作品でも、算学、戯作、身分を超えた男女関係などに関する作者の薀蓄が語られ、面白い読み物になっています。
 短編集を通して、全体はおおらかな女性讃歌になっていますが、その一方で江戸末期の下級武士の生活も描かれています。
 もちろん歴史小説なのですから作品世界で遊ぶだけでいいのかもしれませんが、それを現代に書くのならば、たんなる読者(高齢者が多いでしょう)の暇つぶしとしての読み物であるだけでなく、現代の様々な問題(高齢者社会、格差社会、女性の社会進出への障壁など)にも、作者の視線を照射してもらいたい気がしました。

つまをめとらば
クリエーター情報なし
文藝春秋
コメント
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