現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

宮沢賢治「烏の北斗七星」注文の多い料理店所収

2018-08-12 09:31:33 | 作品論
 賢治の作品には珍しく、当時の軍国主義が影を落とす作品です。
 烏の群れを一つの艦隊と見立てて、当時の軍人たちの気持ちを描いています。
 「注文の多い料理店」の新刊案内(その記事を参照してください)には、各短編についての賢治自身による紹介が載っているのですが、この作品については、非常に簡単に以下のように書かれているだけです。
「戦うものの内的感情です。」
 しかし、その後児童文学界を席巻する軍国童話とは一線を画していて、烏たちの守護神であるマジエル様(北斗七星)に、以下のように敵味方のない平和な世界を願うのでした。
(ああ、マジエル様、どうか憎むことのできない敵を殺さないでいいように早くこの世界がなりますように、そのためならば、わたくしのからだなどは、何べん引き裂かれてもかまいません)
 ただし、この作品が、軍国主義が本格化する1931年の満州事変よりも10年も前の1921年に書かれたこともその背景にはあるでしょう。
 大正デモクラシーにより、その後の戦前の昭和時代に比べて、はるかに自由な雰囲気で創作活動や出版活動が行われた大正時代の産物でもあると思われます。

注文の多い料理店 (新潮文庫)
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新潮社
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吉村萬壱「夏の友」虚ろまんてぃっく所収

2018-08-12 08:26:32 | 参考文献
 「夏の友」とは、夏休みの宿題のドリルのことです。
 題名だけでなく、小学校五年の夏休みを父方の実家で過ごした思い出を描いた前半は、まるで70年代か80年代ごろの「現代児童文学」の作品のようです。
 緻密な子ども時代の記憶や個性的な登場人物の描き方は、やや性的な表現はあるものの毒にも薬にもならない作品が多い現在の児童文学作品より、今の子どもたちにとっても面白いかもしれません。
 後半の大人になった主人公が出てくるようになると、吉村独特のエロとグロが満載の独自の作品世界が広がります。
 でも、こういった世界をストレートに描くより、それを内包しつつ抑えた表現で描いた前半の方が、一般的な読者には受け入れやすいのではないかと思いました。

 
虚ろまんてぃっく (文春e-book)
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文藝春秋
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8月11日(土)のつぶやき

2018-08-12 06:29:00 | ツイッター
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