現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

後藤正治「咬ませ犬」咬ませ犬所収

2018-06-19 08:26:14 | 参考文献
 名もないファイタータイプのプロボクサーに光をあてた、スポーツノンフィクションです。
 取材対象に個人的にも深くかかわっていく、いわゆる私ノンフィクションですが、あまり感情移入せずに淡々と描かれています。
 ボクサーを対象にした私ノンフィクションとしては、沢木耕太郎の「一瞬の夏」が有名です。
 あの作品は、対象がカシアス内藤というかつての人気ボクサーで、沢木は自ら彼を再起させて世界タイトルマッチのマッチメークまでやるというどっぷり深くかかわった作品でした。
 そういった点では、「咬ませ犬」は対象も関わり方も平凡で、ドラマチックになる部分が少なかったかもしれません。
 ただ、作者の、市井の人に対する愛情のある視線は十分に感じられました。

スポーツノンフィクション 咬ませ犬 (同時代ライブラリー (296))
クリエーター情報なし
岩波書店
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