現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

庄野潤三「二つの家族」庄野潤三全集第四巻所収

2018-06-07 18:21:31 | 参考文献
 この作品も、作者がアメリカの田舎町ガンビアに派遣されていた時の話です。
 二つの農家の家族の想い出について書かれていますが、どちらも一回会っただけで作者との関わりが浅すぎて、しかも創作度が低いのでまるで素人の日記のようです。
 こうした題材に特に魅力が見出せなく、しかも作者の対象への思いが深くない場合には、作者の創作方法の限界が露骨に表れてしまいます。

庄野潤三全集〈第4巻〉 (1973年)
クリエーター情報なし
講談社
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児童文学におけるメルヘンの復権

2018-06-07 07:24:55 | 考察
 1950年代にスタートした「現代児童文学」が終焉した現在、「現代児童文学」が批判した「近代童話」、中でもメルヘンが復権していると思われます。
 その外的要因としては、小学校高学年の子どもたちの本離れないしはエンターテインメント作品のみが消費されている現状では、児童文学の媒介者(両親、教師、図書館の司書、読書運動の活動家などの大人たち)の影響が大きい幼年児童文学(小学校三年生以下が対象)や絵本が、児童文学における最後のフロンティアであることがあげられます。
 そういった領域では、「現代児童文学」が追求してきた叙事性よりも抒情性が求められること多く、メルヘンの手法が有効です。
 また、愛情、友情、美などのような普遍的なテーマを描くのに(特に叙情的に描くのに)は、メルヘンの手法はより有効だと思われます。
 もちろん、メルヘンは日本でも百年を超える伝統を持ち、多くのすぐれた作品がすでにあるのですから、これらにはない書き手ならではの新しい発見、研ぎ澄まされた文章、洗練された表現などが求められることは言うまでもありません。

メルヘンの深層―歴史が解く童話の謎 (講談社現代新書)
クリエーター情報なし
講談社
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