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「ここには何もないじゃない?」 




週末、ヴェルサイユ宮殿へ行った...


というのはウソで、ロンドン南方の自宅から車で45分ほどの距離、ウェストサセックス州にあるペットワース・ハウス(カントリーハウス:田舎や農村地域、広大な敷地に建てられた大規模な邸宅)へ行った。

広大な敷地に建つ建物の裏側(上の写真)を見て、わたしが、え、ヴェルサイユ? と思ったのもそれほど的外れではなく、より秩序と対称性を好んだ英国バロック様式の本館は17世紀のもので、ヴェルサイユ宮殿に触発されたデザインだという。


わたしは今回が初めての訪問だった。
ペットワースの街には何回も行ったことがあるのだが、カントリー・ハウスの塀のこちらに入ったことがなかったの!




ターナーが好んで、そして描いたというイングランドの風景...

天気が良かったので、わたしたちは敷地内を2時間かけて歩いた。
283ヘクタール(700エーカー)の敷地内には、鹿や羊、雁、などの群れが住んでいる。

敷地内に入るのは無料で、犬を好きに走らせる人、子供連れ、デート...などいろいろな人が好きな方向を向いて歩き回る。

家族と散歩に来たらしい、おしゃまな女の子が芝生がどこまでも広がる領地を眺めて、絶望的に「ここには何もないじゃない?」と言っていたのがおかしかった。
あなたはアリスか?

この何もなさを楽しむには、人には何かが必要なのである。それは何かなあ...もし彼女に説明するとしたら、わたしならどう言うかなあ...


ディズニーにこんな木が登場していませんでしたか...


こういった貴族のカントリー・ハウスはイングランドのいたるところに残っており、ナショナル・トラスト管理下のものも多い。
また、所有者の侯爵だの伯爵だの一家が、一部を公開しつつ、住まっているケースも多い。

的場昭弘先生は、著書『「19世紀」でわかる世界史講義』の中で、

「イギリスでは、なぜ過激な革命がなかったのか。それは、勃興する資本家階級が次第に権力を取り、市民社会的資本主義をつくり上げてったからです。
貴族階級である地主階級は、次第に資本家階級に駆逐されていきました。
他方、フランスでは、資本家階級が明確でないがゆえに、市民社会の発展ではなく、旧社会の復活と意地を常に抱えていたのです。今現在も超エリート、超高級官僚が存在します。
日本はとりあえずイギリス的に貴族階級を衰退させていきました。(十一章)」


と、書いておられるが、わたしの実感としては、英国の貴族階級は資本家とがっちり手を組み、あるいは資本家そのものとなり、今も隔絶した超リッチ特権生活を送っているように思うのだが、どうだろう。
わたしが的場先生の意を汲めていないのかな...
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